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58. 年頭訓辞2010 : 小説の神が降りてくるのを待ちながら。

  • 千野 帽子

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2010年1月6日(水)

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 日直のチノボーシカです。明けましておめでとうございます。今年もよしなに。

 昨年の下半期は、文芸誌《文學界》の「新人小説月評」を担当していた。この「新人小説月評」という欄は、ふたりの評者が前月の文芸誌(文學界・文藝・群像・新潮・すばる・en-taxiなど)に載った純文学系の新人作家の小説をすべて読んで、そのすべてに言及するという形式のものだ。

 いや、たいへんな仕事ですよこれは。たった半年とはいえ、毎月10篇前後の小説を読んで、2週間程度でそのすべてに言及する評を書かなければならない。小説を書く新人のみなさんも一所懸命書いているわけだから、読者であるこちらもいい加減なことは書けない。

 文芸誌を毎月読むということ自体、ふだんやらないことをするわけで、脳味噌の日常使っていない部分が赤くなったりしていたことと思われる。任期が終わって、正直ほっとしている。

 あまり読まれなくなったむかしの小説の、絶版になってしまったものを古本で入手して読むのが楽しみ、という世捨て人のような読書生活を送っている。だから、現在進行形の文学シーンで活躍する新進小説家の最新作をリアルタイムで読むなどということは、まず自分の身に起こらないと思っていた。そういう意味で、この「新人小説月評」では、滅多にない経験をさせてもらったと思っている。

 で、読んでみて思ったこと。

 純文学の文芸誌に載っている小説は、じつはけっこうおもしろいのである。かなりの高確率で。これは意外でした、と言えば文芸誌をそれまで見くびっていたということであり、失礼な話ではあるが。

老人賭博』松尾スズキ 著、文藝春秋、1200円(税込)

 半年で54篇ばかりの小説(中篇・短篇も多いが、そのいっぽうで舞城王太郎の『ビッチマグネット』や中島たい子の『結婚小説』などの長篇一挙掲載も多々ある)を読んだなかには2、3篇ほど、読んでいるだけで罰ゲームになってしまう地雷作品もあったが、そのいっぽうで、たいへんな傑作の誕生に立ち会ってしまったこともある。

 なかでも、松尾スズキの『老人賭博』(《文學界》2009年8月号)は、全篇にわたって小説の神さまが降りてきている、超のつく傑作である。はっきり言って、この一篇を雑誌発表直後に読めただけでも、この半年の苦労に見合うだけのものがある。Amazonを見ると明日1月7日発売のようだ。

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