「どうする? 日本の医療」

国の新型インフルエンザ対策は適切だった?

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2010年2月2日(火)

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 新型インフルエンザの“第一波”は一山越えつつあるようですが、まだまだ予断は許されない状況です。

 昨年4月、メキシコ、米国で豚由来インフルエンザのヒト感染が確認されて以降、日本においても、検疫、医療機関での診療、ワクチンの接種などに関する対策が次々と打ち出されてきました。中には内外から、「非現実的」「やり過ぎ」「政治家のパフォーマンス」といった批判を受けたものもあり、国の施策は、紆余曲折を経て今に至っています。

 これまでの国の新型インフルエンザ対策は、大まかには、

(1)水際対策(空港検疫など)

(2)医療機関での対応(発熱外来など)

(3)ワクチン接種(ワクチンの確保や優先接種順位の決定など)

の3つに分けられます。

表1 国の新型インフルエンザ対策の主な流れ

2009年
4月 21日 米国で豚インフルエンザ感染例が2例報告(現地時間)
24日 メキシコ政府が豚インフルエンザの感染を発表(現地時間)
28日 日本政府、機内検疫の実施を開始
30日 日本政府、新型インフルエンザの発生を宣言
5月 9日 成田空港で3例の感染者を確認
16日 神戸で国内発生1例目を確認(その後、大阪・神戸で感染拡大が判明)
22日 患者の急増地域に限り、発熱外来を設置していない一般の医療機関でも診療を可能に機内検疫を中止
6月 19日 「運用指針」を改定。全地域で、発熱外来を設置していない一般の医療機関での診療を可能に。また、軽症例は自宅待機に
8月 15日 新型インフルエンザ感染患者で初の死者
9月 4日 ワクチンの優先接種順位を発表
16日 民主党政権が発足
10月 16日 接種回数を変更(13歳以上は原則1回に)
19日 医療従事者に対するワクチン接種を開始
20日 接種回数を変更(13歳以上は、医療従事者のみ1回で、他は2回を前提に継続検討)
11月 11日 接種回数を変更(13歳以上は原則1回で、中高生は当面2回)
12月 16日 接種回数を変更(中高生も1回に)
2010年
1月 20日 輸入ワクチンを特例承認

 さて、今回は、上記のポイントに沿ってこの9カ月の新型インフルエンザ対策を振り返りながら、その内容は適切であったかどうかを考えてみたいと思います。

検疫強化から10日余りで国内初の感染患者が確認

 日本時間の2009年4月27日、WHO(世界保健機関)は、新型インフルエンザの大流行が迫っているとして、警戒水準を「フェーズ4」とすることを宣言。これを受け、厚生労働省では、「新型インフルエンザ対策行動計画」に沿って対策を進める方針を打ち出し、同28日からは水際での侵入阻止作戦を強力に展開しました。

 具体的には、空港検疫を強化。北米からの帰国便の乗客に発熱者などがいないかを探索し、有症状者には迅速診断キットによる簡易検査を実施。「A型陽性」が出たら、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査で新型インフルエンザの感染を確認し、感染が確認された場合は空港近隣の感染症指定医療機関の陰圧病床に隔離入院措置となります。

 過去のSARS(重症急性呼吸器症候群)などの際の検疫体制は、入国審査時にサーモグラフィーで確認する程度でしたが、今回は、飛行機内で発熱の有無の確認が取れるまで“缶詰め”にするなど、より徹底した手法が採用されました。

 検疫強化から10日余り経った5月9日、初の感染者が見つかりました。カナダから帰国した高校生2人と引率の教諭1人。3人は、成田空港近くの感染症指定医療機関の陰圧病床に隔離入院措置となりました。

 その1週間後の5月16日。検疫強化にもかかわらず、ついに国内での感染が確認されました。患者は神戸市内の男子高校生で、渡航歴はなく、検疫をすり抜けて入国した感染者からの2次感染と考えられました。また、男子高校生の周辺を調査する中で、兵庫県と大阪府での大規模な感染が判明。さらに、5月20日には東京都で、米国から帰国した女子高校生の感染が確認されました。

 国内での感染拡大が明らかになり、水際での侵入阻止作戦に対しては、必要人員が多い割に効果が限定的といった指摘が聞かれるようになりました。結局、政府は5月末に検疫体制を縮小。機内検疫も中止しました。

2月8日をもって投票の受付は締め切りました。ご協力ありがとうございました


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著者プロフィール

木村 憲洋(きむら・のりひろ)

木村 憲洋高崎健康福祉大学健康福祉学部医療福祉情報学科で講師、日本医科大学で非常勤講師を務める。1971年生まれ。武蔵工業大学工学部機械工学科卒。国立医療・病院管理研究所病院管理専攻科・研究科修了。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科博士課程、神尾記念病院などを経て現職。



このコラムについて

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