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オレの年齢であの人は死んだのか!『人間臨終図巻』
~ビジネスマンはいかにすべきや

  • 古川 琢也

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2010年1月27日(水)

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人間臨終図鑑』 山田風太郎著、徳間文庫(全三巻)、724円(税抜き)

 いきなり自分の話から始めて恐縮だが、評者は今年、34歳になる。昨年暮れには「ああ、俺34になるのか」と意味も無く感慨に耽り、そうこうしているうち、「歴史上の有名人で、34歳で亡くなった人って誰がいたんだっけ?」ということが気になり始めた。

 そこで年が明けると同時に10年ぶりに読み返したのが、『人間臨終図巻』である。『甲賀忍法帖』に始まる「忍法帖シリーズ」、あるいは『戦中派不戦日記』などのエッセイで知られる奇才・山田風太郎が、古今東西の著名人の死にざまをひたすら死亡年齢順に記したものだ。

 その数は、1683年(天和3年)15歳で火あぶりの刑に処された放火犯「八百屋お七」に始まり、1986年に121歳の長寿を全うした泉重千代まで総勢923人。取り上げられている人物の職業は、政治家、軍人、宗教家、文学者、音楽家、哲学者、芸能人、スポーツ選手、犯罪者と実に様々だ。これだけの数の、バラエティに富む死に様「だけ」を集めた本は、おそらく世界でも他にないのではないか。

自分のキャリアに思いをはせざるをえない

 再読にあたり、「34歳で死んだ人々」のページを最初に開いてみると、「浅野内匠頭」「近藤勇」「土方歳三」「織田作之助」「山口良忠」「ガガーリン」の6人の「臨終」が載っていた。この中では山口良忠の知名度が圧倒的に低いと思われるが、本書の雰囲気を知ってもらうには最適の例なので、この人の箇所だけ全文引用したい。

〈山口良忠(一九一三-一九四七)

 東京地裁判事であった山口は、太平洋戦争敗戦後、裁判官として闇米を買うことを拒否して栄養失調になり、昭和二十二年八月二十七日、東京地裁で倒れた。受診の結果、肺浸潤の宣告を受けた。それでも彼は九月一日まで登庁して担当の事件に判決を下し、九月七日にやっと郷里の佐賀県白石町に療養のために帰郷したが、もう手おくれであった。

 与えられた食餌はすべて下痢となって排泄された。

 十月十一日午後二時半、夫人が新聞を持って来て、それを受けとろうとした判事の手がふいにぱたりとおちたかと思うと、彼は死んでいた。残された感想集には、こんな文章が書かれていた。

「善人の社会での落伍者は悪人であるが、悪人の社会での落伍者は善人である」〉

 こんな調子で、凄惨、悲惨、偉大、醜悪、滑稽、平凡……な死に様の数々が、山田風太郎ならではのクール、かつドライな筆致で綴られていく。

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