「デジタルエンタメ天気予報」

初音ミク、コンサートチケット完売

バックナンバー

2010年2月26日(金)

1/2ページ

印刷ページ

 2月19〜20日。幕張メッセで開催された「AOU 2010 アミューズメント エキスポ」の会場で、ひときわ注目を集めたソフトがありました。

 それがセガブースに出展された「初音ミク Project DIVA Arcade」です。

ユーザーの楽曲と映像をフル活用して作られた「初音ミク Project DIVA Arcade」。その出展エリアは、AOU 2010 アミューズメント エキスポでも異彩を放っていた。女性や子供、家族連れなどの姿もあり、幅広い層からの注目を集めているのも特徴のひとつ。
画像のクリックで拡大表示

 ゲームセンターに置かれるアーケードゲームです。ゲームの仕組みそのものには、とくに新味があるわけではありません。流れる音楽に合わせてボタンを押していくゲーム。典型的な「音ゲー」といっていい。

 しかし、これは他の音ゲーとは、まったく違う特徴を持っています。いや、これまでに登場したすべてのゲームと比較しても、似た試みをしたものは皆無だといってもいいでしょう。

 それは、ゲームの作成に、アマチュアの人たちがたっぷりと参加していることです。

 じつは、このゲームで使用される音楽は、初音ミクのファンたちが、自分たちで作ったオリジナル曲。そのときに流れる映像も、ファンが作ったプロモーションビデオだったりします。つまりこれ、ファンが作ったオリジナル楽曲に、ファンが作った映像を組み込んだゲームなのですね。こんな形で作られたゲームは、史上初といっていいでしょう。

あなたは知らない間に、彼女の歌を聴いている

 これほど熱心なファンを持つ初音ミクってのは…さすがに日経ビジネスオンラインの読者の方ならご存じですよね。念のために説明を入れておきますと、生身の歌手ではない。といって、ゲームやアニメなどのキャラクター、とも違います。「パソコンソフトの中にいる架空の歌手」と、考えてください。

 初音ミクを扱いたければ、「キャラクター・ボーカル・シリーズ01 初音ミク」(販売:クリプトン・フューチャー・メディア)というパソコンソフトを買えばいい。これはヤマハが開発したVOCALOIDというシステムを利用した歌声合成ソフトです。これを使うと、ユーザーが自分で曲を作るだけで、それを初音ミクに歌わせることができるようになります。

 2007年に発売されると、じわじわと人気が拡大。いまや初音ミク(を含む、他のVOCALOIDソフト)がボーカルを務める楽曲は、ネット上にあふれかえっています。その総数は、すでに数万曲規模になっているはず。なにしろ、いまなお1日に数十曲のペースで、動画再生サイトなどに、新作が次々にアップロードされているのですから。

 それらの楽曲の中から、注目を集める人気曲も出ています。CD化されてヒットしたものもあります。いまでは音楽CDの売上げランキングの上位に「初音ミク」の名を見かけることは珍しくなくなりました。よくカラオケボックスに行かれる方は、そこに初音ミクの楽曲がたくさん用意されていることに気付くでしょう。

 初音ミクなんか知らないよ! という方も、いやいや、どこかで必ず彼女の歌声を耳にしていると思いますよ。いまでは、ごく当たり前のようにコンビニなどでBGMとして流れています。ふつうのJ-POPと区別がつかないので、気付いていないだけのことです。

空位だったバーチャル・アイドルの座を確保

 デジタル・エンタテインメント史の視点から見てみると、初音ミクこそが史上初の「バーチャル・アイドル」だ、と考えることもできるでしょう。

 いまどき「バーチャル・アイドル」という言葉を使う人はいなくなりました。これは10数年前に脚光を浴びた言葉です。コンピュータ・グラフィックスの進化にともない、デジタル技術でアイドル的な人気を持つキャラクターが作れるのでは? と多くの考えたのですね。

 しかし、その試みは、ことごとく失敗しました。どのキャラクターも、高い人気を獲得できなかったのです。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



関連記事

Keyword(クリックするとそのキーワードで記事検索をします)

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
内容は…
この記事は…
コメント3 件(コメントを読む)
トラックバック
著者プロフィール

野安 ゆきお(のやす・ゆきお)

野安ゆきお

1968年生まれ。ファミコンの時代から、テレビゲームの関連記事・単行本の執筆に専念。製作に参加したゲーム攻略本・ゲーム関連書籍は100冊を超え、プレイしたゲームは1000本を超える。

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン

日経ビジネスからのご案内