みなさまごきげんよう。フェルディナント・ヤマグチでございます。
どのような書き方をするにせよ、“批判記事”を物するのは実に難しいものです。前回ディーラーのマイナス部分を表現するに際して、私の直感的なインプレッションだけでなく、7年連続輸入車ナンバーワンという、“客観的な高評価”をも併せ挙げた上で、私個人の超近視眼的な例を「極めて希な“外れクジ”」、なる言い回しで記述しました。つまり、「評判がいいクルマほど、作る側も売る側も細心の注意が必要なのでは」と言いたかった。件のクルマは掛け値無しに素晴らしい。これは間違いがない。しかし残念ながら、私の意図とは外れた解釈をなさる読者の方も多かったようです。ネットで「結局ヤマグチさんは、最後に落とす事が目的で持ち上げたんですね、けなすために誉めたんだ」という趣旨の書き込みを見たときは、さすがに腕を組み、「う〜む」と唸りました。
物を書く上での大原則があります。こちらの意図は一切際関係が無い。読者諸兄に「どう受けとめられたか」、が全てである、というものです。クルマをお借りして記事を書くに当たり、マイナスが強調して印象付けられてしまえば、取材に応じて下さった方も堪らないでしょう。意図したことが思い通りに伝わらないのは、自らの筆力不足以外の何物でもありません。ただただ恥じ入るばかりであります。
何人かの方にご指摘いただいたように、批判の一方通行はフェアではありません。先様に反論がおありであれば、謹んで拝聴しなければいけないし、またそれを正確に皆様にお届けする必要がある。いつなりとお待ちしていることを、申し添えさせて頂きます。インターネットメディアの特性を最大限に活用し、インタラクティブでオープンな議論が出来れば、それこそが“フェア”というものでしょう。
この度はたくさんのご意見を頂戴し感謝感激であります。「よく言った!」とお褒め頂いたものから、「死ねバカこの野郎チョーシに乗んな!」というお叱りまで、全てのご意見を有り難く拝聴いたしました。読者諸兄からいただく叱咤激励こそが当欄のパワーの源泉であります。今後ともご指導ご鞭撻の程、伏してお願い申し上げます。
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さてさて、今週からお伝えするのはマツダのロードスター。
フロントエンジン・リアドライブという伝統的なレイアウトに、オープンボディ2シーターという何とも思い切りの良いスタイルを採用した、極めて趣味性の高いクルマです。21年前にデビューしたときは、マツダの社内からさえ「こんなクルマが売れるのかよ」と疑いの目で見られていましたが、その後のサクセストーリーはご存じの通り。日米欧で売れに売れ、BMWのZ3、フィアットのバルケッタ、メルセデスのSLK……と多くのフォロアーを産んだ、日本車には珍しい、正に世界の流行を自ら作り出した、エポックメイキングとも言えるクルマです。
特に話題もありませんが、好きなので取り上げます
ところで何で今頃ロードスター? ニューモデルでも出たんだっけ? と訝しく思われる方も居られましょう。いえ、新しいモデルは出ていません。5年前にモデルチェンジをし、その翌年にパワーリトラクタブルハードトップ(RHT)が追加設定されて……そのままです。一昨年にマイナーチェンジが施されましたが、それも内外装やエンジンマネジメントを少々。それと触媒に手を加えた程度で、文字通りの“マイナー”チェンジ。ではなぜ今頃ロードスターなのか。
それはこのクルマが本欄で追及している「クルマの楽しさ」を、商品化して売ることに成功した、日本車として類い希なる存在だからです。これは是非とも取り上げたい。しかし何も新しい話題がない時期にフィーチャーしても良いものでしょうか。担当Y氏に恐る恐る相談してみると、「ああ、いいっスよ。乗りたいクルマに乗って下さい。僕も乗ってみたいし」と男気の二つ返事。そうした背景から(背景ってほどでもないですが……)今回は広島のマツダが産んだ世界の名車、ロードスター。まずは試乗記からお送りします。楽しんでつかあさい。
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最近の若いモンはまったくなっていない。
今春から高校に進学するウチの豚児もそうだ。クルマにまったく興味を示さない。いくつかのクルマ雑誌に連載を持つお陰で、拙宅には入れ替わり立ち替わり様々な試乗車がやってくる。だが彼はどんなクルマが来ても、文字通り“見向きもしない”のだ。朝起きたら家のガレージに威風堂々の巨大なSUVが停まっていたり、流れるようなボディラインのスポーツカーが停まっていたりしたら、普通は「わースゲー。これ何て言うクルマ?」と大騒ぎしないだろうか。最近彼がクルマに関してコメントを述べたのは、アウディQ7のオーディオくらいのもので(バング&オルフセン製のサウンドシステムが装着されていた)、エンジンを掛けると、ダッシュボード上にニューっとツィーターがせり出してくるギミックに手を叩いて大喜びした。おい喜ぶところはそこじゃないだろう。クルマはどうなんだ。
彼の友人達もまた同断で、何人か連れ立って家に遊びに来ても、誰も興味を示さない。
「こんちはっス」
「やあいらっしゃい。見ただろあのクルマ。BMWのZ4」
「……はぁ……凄いスね」
「凄いスねって君たちさ。あれを見て何も思わんのか?」
「速そうですね」
「前が長いスね」
「ウチのクルマと同じかなぁ。同じマークが付いてるから」
「や、君のお父さんはBMWに?」
「……良く分かんないスけど……多分」
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