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「リラックマ」がゆく、歴史の間違った学び方

2010年3月1日(月)

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 都立高校で日本史が必修になるらしい。
 詳細は以下の通り。

《東京都教育委員会は25日、2012年度からすべての都立高校で日本史を必修科目とすることを正式に決めた。東京の近世以降の歴史を学ぶ独自の科目「江戸から東京へ(仮称)」も新設する。――後略――》(Asahi.com 2月25日

 日本史にはいやな思い出がある。
 高校生の時に零点を取ったことがあるのだ。

 いや、白紙答案を提出したというわけではない。青春の反抗とか、無言のレジスタンスだとか、そういうお話でもない。純粋に正解できる問題を見つけられなかっただけだ。

 日本史の先生は、今思えば「実戦派」の教師で、高校の定期テストでも、大学受験レベルの(それも難関校のひねくれた出題傾向の)試験問題を出してくる人だった。
 であるから、当時、半端進学校から名目進学校への坂道を転げ落ちつつあったうちの学校の生徒にとって、その問題は拷問だった。平均点は、100点満点のうちの30点台。50点以上を取る者は数人しかいなかった。

 ひとつ覚えているのは、租庸調の「租」が何束何把であったのかが問われていたことだ。私は問題の意味さえ理解できなかった。

 とはいえ、零点はさすがにマズイ。
 答案を返却する時、先生はこう言った。

「私も25年この教科の教師をやってるけど、零点ははじめてだよ」
「ぼくもです」

 と私は答えたが、先生は笑わなかった。
 私は、困って、ちょっと笑った。
 しかしながら、それでもなお先生はまったく笑わなかった。

 以来、日本史には苦手意識がある。
 世界史もたいしてできたわけではなかったが、こっちは受験科目に選んだ関係で、後に、浪人中の一年間だけだが、かなり勉強した。なので、大枠だけはつかむことができるようになった。

 日本史に関しては、その「大枠」が無い。骨組みも。
 断片的な知識に、時代小説由来の奇妙な偏見やらファン意識が絡みついているばかり。
 どの時代をとってみても、全体としてのカタチを思い浮かべることができない。困ったことだ。

 それにしても、大学受験の日本史の試験問題は、あれはあまりにも偏頗なんではなかろうか。
 
 常識的な設問を並べていたら、満点が続出して、受験生の間に有意な得点差が生まれなくなる。だから、選抜テストの問題は余儀なく難問化する――という、その事情はわかる。でも、だとしても、あのひたすらに重箱の隅をつつくみたいな問いかけは、普通の高校生の健康な学習意欲を毀損していると思う。
 
 たとえば隅っこだけでできた重箱(形の弁当箱とか)があるのだとして、そういう容器に詰めた弁当を出されたら、私は食欲を失う。おいしいとかまずいとかの問題ではない。栄養がどうだというお話でもない。圧迫力を伴って供されたメニューは、食卓を食物処理場に変えてしまう。そういうことだ。いずれにしろ、嚥下競争は良くない。

 偏食家だった私は、小学校低学年の頃、ほぼ毎日、掃除が終わった後、一人で残りの給食を食べていた。

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「「リラックマ」がゆく、歴史の間違った学び方」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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