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保護者だけの素人ガバナンスは「セーフティネット」あってこそ

2010年3月5日(金)

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 ニュージーランドの公立校では、保護者が校長や教職員を雇い、学校のガバナンスを行う。それが、名目だけではなく、実際に行われていることもこの目で確認した。

 正直、学校にまつわる諸々のことを、基本的には素人集団である保護者が監督できるということに、驚きを禁じ得ない。と同時に、「すべてのところでうまくいっているはずもない」という、少々意地悪な予感もする。

 期せずして、この地域のたった1つの新聞である「ザ・プレス」に、ぼくの予感を裏打ちする記事が掲載された。クライストチャーチ市のある学校の理事会が機能していないと判断され、解散、国が任命するコミッショナーが、立て直しに送り込まれた、という。

うまくいかなかった例、31/2500

 記事によると、2009年10月7日の時点で、ニュージーランド全国の約2500の学校のうち31校で理事会が機能せず、国から派遣されるコミッショナーを受け入れているという。ちなみに、クライストチャーチ市内では、そういう学校が3校ある。

 2500のうちの31を多いと見るか少ないと見るか。
 ぼくは驚くほど少ないと感じるのだが、しかし、保護者に学校のガバナンスを丸投げしておいて、学校がたちゆかなくなるなら、それは大変困ったことだというのは間違いない。もっとも、日本のような中央に求心力を持った階層的なガバナンスが行われたとしても、学校が必ずうまくいくとは限らないことは、ぼく自身、日本で見聞してきた教育現場を考えればよく分かることであり、ここでは、「うまく行かないところには、専門家が直接介入できる」という柔軟な運用にむしろ着目すべきか。日本では、「学校がうまくいかないから、教育委員会を解散」などということはあり得ないのだから。

 実際、こういった介入は保護者が学校のガバナンスに失敗した際の「セーフティネット」の一環として設計されている。やはり、原則的に素人集団である保護者に任せる以上、支援体制も様々なレベルで必要になってくるわけだ。今回は、学校経営の危機に際して利用できる「セーフティネット」について見ていきたい。

ガバナンスではなく、マネジメントをしてしまった

「うちの場合は学校も理事会も、表向きは一応のところ機能していた。だから、理事会が解散してコミッショナーが来ることはなかった。でも、理事会は相当おかしなことになっていて、保護者代表の理事会メンバーの負担がとてつもなく大きすぎた。わたしが、この2年半でしたことは、その整理。理事会がガバンナンスの組織として当たり前に機能するために、わたしも勉強しなければならなかったし、ほかの理事会メンバーにも説明して、納得してもらわなければならなかった」

 そう語るのは、クライストチャーチ市内の小学校で理事会の書記を務めるアリス(仮名)だ。学校名と個人名を特定されたくない切実な理由があり、匿名を条件に自らの経験を話してくれた。ちなみに、この場合の「書記」は、議事録をとる「ミニッツ・セクレタリー」(非・理事会メンバー)とは別で、むしろ、総務的な立場だと理解してほしい。理事会によっては、こういう役職を置くことがある。

 アリスが学校理事会の選挙に立候補したのはかれこれ3年前。
 当時、学校の児童数がどんどん減っていた。これは「負の連鎖」のはじまりを意味する。児童数に応じて分配される国からの教育予算が減り、また、保護者の数も減るわけだから、学校を支援するための潜在的なリソースも減る。よって、満足できる教育の質に達せず、親は別の学校を選びがちになる。すると、児童数はさらに減り……。

 アリスはこのことに危機感を抱き、自分が関わって変えられないなら、子どもを転校させるしかないとまで思い詰めていたという。

教育予算は児童数に応じて決まる。小規模校に有利なるような「基礎予算」もあるが、それでも、児童数が多い方が、スケールメリットが出る
(出典:ニュージーランド教育省のウェブサイトより)

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「保護者だけの素人ガバナンスは「セーフティネット」あってこそ」の著者

川端 裕人

川端 裕人(かわばた・ひろと)

文筆家

1964年、兵庫県明石市生まれの千葉育ち。日本テレビの記者を経て作家に。『夏のロケット』が第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞、「SFマガジン」で「青い海の宇宙港」を連載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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