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「二律背反」を乗り越えるのが、技術者っちゅうもんでしょう。

第33回:マツダ ロードスター【開発者編】その2

2010年3月12日(金)

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(前回から読む

 今回も例によってコンビニやファミレスの駐車場でイキナリ知らない人に声をかける、当欄名物“突撃インタビュー”を実施いたしました。詳しいお話は次回の“総集編”でお届けするとして、彼らが異口同音に話していた言葉を先行してご紹介しておきましょう。それは、

「クルマは馬力じゃないんだよね」

というものです。

 クルマは馬力じゃない。通っぽい人からそういう台詞はよく伺います。まあそうなのかなぁ……と思います。パワーが弱くてもクルマはソコソコに走る。少ないパワーでも楽しいクルマは幾らでもあります。そしてバランスさえ優れていれば高馬力のクルマをカモることさえ出来る……、とも言われています。

そうはいっても、馬力は大きいに越したことはないのでは?

 しかし正直な話、私はその感覚がどうもピンと来ていなかった。
 何だかんだ言っても、クルマの走りを決定付けるのはやはり馬力ではないのか? 与えられたリソースの中で、可能な限り高馬力を絞り出しておいた方が、より“速く走る”事が出来るのではないか。そして結果としてその方がユーザーの満足度も高いのではないのか……?

 貴島氏にお目にかかるまで、実はこのように考えていたのです。
 スポーツカーに必要なものは何か?
 そもそも“速く走る”感覚とはどういうことなのか。

 シロート丸出しで次々と馬鹿質問を投げかける私に対して、一つ一つ懇切丁寧に教えて下さるチーフエンジニアの貴島孝雄氏。

 オープン2シーターという極めて趣味性の高いロードスターが、何故かくも長きにわたって世界中で愛され続けているのか。氏のお話を伺うにつけ、その秘密が徐々に明らかになってきます。

 基本に忠実。奇を衒わない。大切なことをコツコツと積み上げながら造り込んでいく……。
 ミスター・ロードスター、貴島孝雄氏インタビューの続編です。

画像のクリックで拡大表示

フェルディナント(以下、F):ロードスターは本当にエポックメイキングなクルマで、それだけに登場以来、実に多くのフォロアーが産まれました。そしてその中にはいくつかの(エンジンを車体の中央部、後輪と運転席の間に据える)ミッドシップレイアウト(MR)のクルマも含まれています。正しいかどうか分かりませんが、私はミッドが(車体の前にエンジンを置き、後輪を駆動する)、フロントエンジン・リアドライブ(FR)と比較すると、より高度で運動性能に優れているクルマであるというイメージがあるのですが、ロードスターをそうしなかったのはなぜですか?

なぜロードスターが生き残ったのか

貴島(以下、貴):これは先ほどお話しした“アフォーダブル”ということに繋がります。我々は毎日の通勤やお買い物にも使える“日常”を大切にしました。エンジンを運転席の直後に置くMRは、居住空間がせまくなり、トランクも小さくならざるを得ませんね。ポンティアックのフィエロ、トヨタのMR-S、あ、ローバーのMG-Fもそうだったな。それらのクルマは今どうなっているか……?

F:すべて市場から撤退しています……。

貴島 孝雄氏 (写真:大槻 純一)

貴:そうでしょう。ある程度の実用性、日常性を努力して作り込みながら、スポーツ性も維持させなければいけない。その矛盾を両立させることによって、クルマの価値が生まれてくるのです。そうでなければ長く市場から支持を受けることなどとても出来ないと私は確信しています。

F:なるほど。すると最初からミッドは視野に入れていなかった?

貴:もう最初からナシです。そもそもリアヘビー(MRはエンジンが後輪の上に来るので、後ろにより荷重がかかる)なクルマは怖いんですよ。限界に近い速度でコーナリングしたときには、絶対にリアから滑り始める。ひとたび限界を超えてしまうとコントロールが非常に難しい。うんと高いレベルのドライバーがそのギリギリの部分を操る楽しさというのはもちろん有るのだけれども、それではいくらなんでも敷居が高すぎる。アフォーダブルではなくなってしまう。ですから最初から我々はFRで前後の重量配分が50:50。街乗りが出来て、なおかつ価格を抑える、という事を目標に掲げて開発に当たりました。

F:ミッドだと価格も高くなってしまいますよね。

貴:いや、逆です。単純に主要部品だけで見たら、ミッドの方が安く作ることができる。

Fと編集Y:ええぇ?!

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「「二律背反」を乗り越えるのが、技術者っちゅうもんでしょう。」の著者

フェル

フェル(ふぇるでぃなんと・やまぐち)

コラムニスト

堅気のリーマン稼業の傍ら、細々と物書きの真似事をしております。最近は講演やらテレビ・ラジオへの出演も増えてきました。いったい本業は何なのか自分でもよく分からなくなっています。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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