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『天才の育て方』で部下も育つか?
~デキる上司が(きっと)やっていること

  • 大塚 常好

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2010年3月17日(水)

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天才の育て方』 朝日新聞社編、1300円(税抜き)

「人が鍛えられる、3つのシチュエーションがあります」

 某スピリチュアルカウンセラーが番組内で言っていた。

その1、上司になる。
その2、独立起業する。
その3、親になる。

 いずれも部下や顧客や子供といった「制御が難しいもの」を相手にするということ。それが人生修行となり、魂の鍛錬になるのだと。前世うんぬんを語る彼らの仕事は正直うさん臭いが、確かに、そうかもしれない。

吉田沙保里の苦境を救った「魔法の言葉」

 本書は一流のアスリート選手や料理家、音楽家、お笑い芸人など、25人の親が子育ての極意を語ったもの。「ままならぬ存在」である子供をいかに操縦し、「天才」の高みに持ち上げたのか。部下育成に頭を悩ます上司のヒントにもなるのではないか。

 例えば、女子プロゴルファー・上田桃子の父親は、子供に「自分で決めたことを自分で正解にする力」を求めてきた。プロという道を選んだからには、納得できるレベルまで持っていけ――。

 娘はプロゴルファーになりたいと小4の時、ゴルフ塾に入った。しかし高校時代に伸び悩んだ末、「目標」達成のため18歳の時に自ら志願して地元熊本から単身神戸へ。レッスンプロに弟子入りした。

 「がんばって、失敗」は「苦労せずに、成功」に数段勝る。結果ではなくレベルアップしようとするプロセスを重視した上田の父は、呪文のように、この言葉を繰り返し言って聞かせたそうだ。

 晴れてプロとなった後も、父は成長プロセスの要所で言葉をかける。

 3年前、15番ホールまでダントツ首位を走りながら、結局、プレーオフでライバルの横峯さくらに負けた。娘はトイレにかけこみ、関係者全員に聞こえるほど大きな声で泣いた。

 思うに、ふつうの親ならここで「みっともない姿を見せるな」と人前で叱責するか、「お前はよくやった」と安易な労いの言葉でその場をしのぐ程度しかできないのではないか。だが、父はこう言った。

〈「つらいことも、自分を成長させてくれる。いつか笑って振り返れる日が来る」〉

 涙もひとつのプロセス、前を向いて進め。そんなメッセージを心が折れかかった娘に伝えたかったのだろう。娘はその後、賞金女王に輝いた。

 職場で言えば、いわばメンターのような、巨視的な立場で、冷静かつ熱いサポートをして相手の最大のパワーを引き出す。これを上田の父は実践したのである。

 一方、アテネ・北京五輪で女子レスリング連続金メダルの吉田沙保里の父は、娘との距離がぐっと近い。自身もトップ級の実力者だったため、コーチとしての腕前はかなり高い。それに加えて、「やる気を刺激する」術にも長けていた。

〈「スーパーには売っとらん。頑張った人しかもらえない」〉

 人生最初の試合に負けた5歳の娘は、表彰台の一番上に立った子を見て「私も金メダルがほしい」とねだった。だが父はこう言って娘を突き放した。以来、娘は目の色変えて、やる気の炎を燃やしたらしい。

 北京五輪の直前、連勝が119で止まり娘が泣きじゃくった時も、やはり、「魔法の言葉」をかけるのである。

〈「あなたに負けた選手たちも泣いたはず。この悔しさをバネにするといい」〉

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