前回のコラムで、そろそろ3D映像のテレビゲームが本格化しそうだ――という話題を書いたのですが、今週、それに呼応するかのような電撃的なニュースが発表されました。
任天堂が、「裸眼で3D映像を体験できる携帯ゲーム機」を発表したのです。
マシンの名前は「ニンテンドー3DS(仮称)」。全世界で1億2500万台の普及を誇っているニンテンドーDSの後継機です。これまでに発売されたDS用ソフトはすべてプレイ可能。そして3D対応ソフトは、特殊なメガネなどを必要とせず、ただゲーム画面を見るだけで3D映像が体験できるようになります。いやはや、すごい時代がやってきそうです。
発売時期は2011年3月期。それ以外の詳細はまったく不明ですが、今年6月、ロサンゼルスで開催されるE3(Electronic Entertainment Expo)で初披露されるようです。ついに任天堂が、本格的に3D映像のゲームに挑戦してきました。(任天堂の公式リリースはこちら)
「ゲーム機戦争」という視点はすでに時代遅れ
この「ニンテンドー3DS(仮称)」の発表を皮切りに、今後、いくつもの新しいゲーム機が発表されていくでしょう。2004年に、ニンテンドーDSとほぼ同時に発売されたPSPも、そう遠くないうちに後継機を登場させるはず。他の据え置きゲーム機も同様です。
こうして新しいゲーム機の気配が漂ってくると、世の中には「ゲーム機戦争」などの言葉が頻出するようになるもの。それぞれのゲーム機が、いかにして覇を競い合うのか(あるいはシェアを奪い合うのか)といった視点から、ゲームビジネスを分析するような記事ですね。
しかし、はっきりと断言しておきましょう。
今後、そのような視点からゲームビジネスを分析するのは、典型的な「大間違い」です!
むしろ、これまでのように「ゲーム機対ゲーム機」という構図でゲームビジネスを見てしまうと、未来のゲームビジネスの覇権を競い合うための、真の戦いの姿が見えにくくなります。
なぜなら、未来のゲームビジネスにおいてもっとも大切なのは、「人が集まる場所を、いかにして活用するか」という戦いになるからです。
いま、それは「コンテンツビジネス」対「ソーシャルゲームビジネス」という形で、わたしたちの前に表出しています。ここで行われている戦いが、未来のゲームビジネスでの勝利をつかむための、もっとも熾烈な戦場なんです。
人が集まるところにゲームを置く、というアプローチ
ソーシャルゲームとは何か?
厳密に定義するのは難しいのですが、ネット上でコミュニケーションをとりつつ、みんなで楽しめる気軽なゲームのことを指します。SNS(ソーシャルネットワークサービス)が提供しているゲームや、ケータイサイトで楽しめるゲームなどが、その代表ですね。いま、オンラインを介して、たくさんの人が集まる場所があります。そこで「みんなが参加して、気軽に楽しむゲーム」を提供するビジネスが、いま急成長しているんです。
レストランで考えてみると、理解しやすいかもしれません。
いままでの家庭用ゲーム機ビジネスというのは、味で勝負する専門店みたいなもの。いい料理を出すことで、高い評価を得て、たくさんのお客さんに末永く愛されることを目指すビジネスです。
それに対し、ソーシャルゲームというのは「大型ショッピングモールの中にあるレストラン」だと考えればいい。もともと多くの人が集まる場所に、さほど本格的じゃないけど、気軽に利用できるレストランを用意しよう! というビジネスです。「味」や「サービス」は専門店よりも落ちるけど、いわば立地条件で勝負しているわけです。
これ、従来のゲームビジネスにとっては、巨大なライバルになります。
たとえば大手SNSの代表であるFacebookは、全世界で4億人以上の利用者がいるといわれています。その利用者の中から、ほんの数%の人が参加しただけで、巨大な参加者を持つゲームが誕生することになりますからね。
しかも、最先端の技術を組み込まないのだから、ゲーム料金を安価にできる。もともと多くの人が集まるのですから、そこに広告ビジネスを絡めれば、無料にすることも可能。これまでのゲームビジネスとは、まったく違うビジネスモデルが生まれつつあるんです。
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