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『日本辺境論』が明かす、エラい人が「あのね」と言いたがる理由
~日本語はナカミより、話し手?

  • 浅沼 ヒロシ

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2010年3月31日(水)

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日本辺境論』内田樹著、新潮新書、740円(税抜き)

 日本とはどういう国なのか。日本人はどんな国民性をもっているのか。――あまた出版されてきた日本論・日本人論に、またひとつ金字塔が生まれた。

 今回3回目となる「新書大賞2010」に選ばれた内田樹著『日本辺境論』である。

 日本人は辺境人なのだ、という著者の主張は目新しく聞こえる。養老孟司氏も「これ以降、私たちの日本人論は、本書抜きでは語られないだろう」と絶賛しているくらいだ。

先賢の知見をリピートする理由

 しかし、実は本書に新しい情報は少ない。

 ある種の文化的劣等感を日本人は持っている。それは辺境諸民族のひとつとしてスタートしたからだ。という主題自体が梅棹忠夫(うめさお・ただお)氏が半世紀以上前に書いた『文明の生態史観』に載っている。

 また、日本では「よその世界の変化に対応する変わり身の早さ自体が『伝統』化している」ことも、既に丸山眞男によって指摘されている。

 いわば先哲たちの〈「抜き書き帳」みたいなもの〉であることを、著者本人が次のように述べている。

〈もう一度申し上げますが、この本には、ほとんど創見といえるものは含まれていません。(中略)本書に含まれている知見のほとんどは先賢たちがもう書いていることです。日本および日本人について、私たちが知っておくべきたいせつなことは、すでに論じ尽くされており、何をなすべきかについても、もう主立った知見は出尽くしている〉

 ならばなぜ、著者は先賢の主張をくりかえすような日本人論を書き上げたのか。

 本書の執筆動機を紹介する前に、著者の内田樹氏について簡単に述べておこう。

 内田樹氏は1950(昭和25)年東京都生まれ。東京大学文学部卒で、現在は神戸女学院大学文学部総合文化学科教授である。専門はフランス現代思想だが、映画論、武道論など幅広い分野の著書を持つ。

 内田氏の著書やブログ「内田樹の研究室」には熱烈なファンが多く、「タツラー」と自称している。「タツラー」とは「カツマー」(勝間和代氏のファン)をもじった言い方で、「タツルの本はカツマ本ほど売れていないけど内容が深いんだぞ」というファン心理がこめられている。

 「年収10倍アップ」シリーズに代表される勝間和代氏のポジティブな生き方は多くの読者を惹きつけたが、リーマンショックによる景気後退のなかで「スキルを磨けば報われる」というメッセージを信じつづけることが難しくなった。

 一方で、フェミニズムや格差社会論を批判的に考察する一見保守的な内田氏の論調が、疲れた現代人を癒していく。

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