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他人事ではない100人の『転落』
~30代独身者はホームレス予備軍?

  • 大塚 常好

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2010年4月14日(水)

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転落 ホームレス100人の証言』神戸幸夫著、アストラ、1429円(税抜き)

 15年間、「定点観測」したのは、新宿中央公園だった。

 観測対象は、ホームレスである。

 バブル崩壊後、当時まだ短編映画のカメラマンをしていた著者(現フリーライター)は西新宿に通い始めた。この公園を中心に都内の300人以上のホームレスを取材するために。本書にはそのうち100人分の「現在に到る」までの来歴が載っている。

 日雇いの仕事で稼ぐと、お金は酒やギャンブルに消え、なくなれば借金。家族にはそっぽを向かれ、行き着く先は路上の人。

 これが、これまでの典型的な「最底辺」への落ち方だった。全体に低学歴の人が多く、最後は自らホームレスになろうとしてなったフシもある。学歴はともかく、酒やギャンブルへの依存や社会保険未加入など自業自得と言われてもしかたないところも目立つ。

 ところが、今は自分の失策ではない、不可抗力でホームレスに転げ落ちる人が多いという。

きっかけは上司との軋轢

 東大卒の高学歴者や、元一流企業社員、元経営者など「勝ち組」だった人が少なくない。しかも、酒やギャンブルと無縁の人も多い。かつては全身垢だらけの人が大多数だったが、今は、「いつでも働きに出られるように」と、ヒゲを毎日剃るなど身ぎれいにするホームレスが増えた、と著者は言う。

 名だたる上場企業が、正社員の早期希望退職者を募集する「年齢条件」を、「50歳以上」から「40歳以上」に低く設定するなど、なりふり構わぬリストラ策に出ている。

 いいように切り捨てられるのは非正社員だけではない。正社員も今や「末端」である。しかも、不慮のケガや病気といった災厄は誰にも予告なく降り掛かる。

 すべての人にとって収入が完全に途絶える危機は、すぐそこにある。

 となれば、不可抗力でホームレスに「転げ落ちてしまった人々」の失敗から学ばなくてはならないだろう。

 例えば、本書に上司との軋轢がきっかけで転落した人が登場する。

 丸の内に本社のある大手鉄鋼メーカーに勤務していた男性。仕事はユーザー企業の工場ラインなどのシステム設計だった。月の残業時間は150時間と多忙だったが、それなりに充実していた。

 しかし、ある時、直属の上司にソリの全く合わない人物が配属され、やる気はみるみる減退。会社に自分の居場所を失い、約20年のサラリーマン生活は39歳の時に終わった。

 独身で、そのまま田舎に戻り就職したが、給料は低く退職金をくいつぶす。その後はサラ金の借金地獄に陥る。金の使い道など詳細を本人は語ろうとしないが、浪費が続いたのだろう。

 最後はにっちもさっちもいかなくなり、親に迷惑をかけてはいけないと東京へ舞い戻る。サラ金により乱れた生活リズムを戻すことができぬまま街を漂流したようだ。

 職場の人間関係は本当に難しい。

 相性が合わない人とチームになっての仕事ほど苦痛なものはないだろう。戦略の立て方や進め方、価値観が異なればやりにくいし、余計な消耗も多い。ソリの合わない上司からの評価が低くなれば、給料も減るかもしれない。

 別のケースでは、部下のミスの責任をとって大手企業を退職したホームレスもいた。

 いずれも不幸な出来事としか言いようがない。

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