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「一行」の明快な指示より「迷いなさいよ」がうれしい

「DARKER THAN BLACK -黒の契約者-」岡村天斎監督・3

  • 渡辺由美子

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2010年5月7日(金)

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(前回「『迷い道くねくね』がロングランへの“近道”かも」から読む)

――“「どこが売りか」を一行で伝える”ことに誰もが熱心な中、面白さには「わかりにくいもの」が欠かせない、という岡村天斎監督。「DARKER THAN BLACK」シリーズでは、謎を散りばめて視聴者を「迷い道」に誘い込むという手法をとったというお話でした。しかし迷い道は、まず誘い込む最初のところが難しいと思うのですが、その辺りはいかがでしたか。

岡村 オリジナル企画ということもあって、まだ作品世界が浸透していない段階では、ちょっと大変でしたね。特に第1期のときは試行錯誤でした。

岡村 天斎(おかむら・てんさい)
1961年生まれ、横浜出身。早稲田大学建築学科卒業。代表作は1995年「MEMORIES  EPISODE2 STINK BOMB 最臭兵器」、1999年「メダロット」、2000年「人造人間キカイダー THE ANIMATION」、2003年「WOLF'S RAIN」など(いずれも監督)

 僕は「探偵物語」みたいに、前編後編の2話完結の読み切り形式でやっていこうと思ったんです。ひとつひとつの話に関連性はあまりなくて、え、これでストーリーとして繋がっているの? くらいな感じで、主人公のことも世界のこともあまりわからないままにしておく。第3話ぐらいまで見ると、徐々に主人公の目的とか物語がなんとなく分かっていく、という作り方にしていたんです。

 けれども、プロデューサー陣はちょっと心配した。「今のお客さんにはこういう作り方では恐らくなじまないので、全体を通したストーリーの骨組みを、もっとわかりやすく打ち出さないと」と。僕はそんな骨組みなんて作らないで、2話完結の読み切りの物語を延々とやっていきたかったぐらいなんですけどね。

――「迷い道」に誘い込まれたお客さんは、最初はどんな反応でしたか。

今のお客さんは「神様の視点」に立ちたいのかも

岡村 最初に聞こえてきた評判はこうでした。「いつ本筋が始まるんだ」と。

――やはり……そういう反応がきましたか。

岡村 「結局これはどういう話なのか」というのを早く把握したいんだと思うんですね。

――前回の安藤真裕監督も同じことをおっしゃっていました(「『「見続けるかどうか、第1回で決められるようにして欲しい』のが、今のお客さん」)。今のお客さんには、第1話を見たらどんな話か分からないと敬遠されるんです、と。

岡村 ああ、それはそうなんですよね。僕らの若い頃は、だいたい第3話ぐらいまでなんとなくテレビを付けたり消したりしながら見ていて、「あれ、意外と面白いじゃないか」と思って継続して見始めるというパターンが多かったんだけど、今は第1話から(お客さんを)つかみにいかないと、みたいな。そういう話はアニメ業界でもよくされていますね。

 (主人公の)黒<ヘイ>に関しても、一体どんな人物なんだと言われました。今のアニメファンは、キャラクターを類型化するというんですかね。「これは○○系」みたいに、この人物はこういう系統の人、という属性みたいなものを割り振らないと気が済まないという。本当は、そんなに属性がはっきりした人間はいないだろうと思うんだけど、でもそうじゃないと食い付いてこないみたいなんですよね、若い人たちは。その辺がちょっと課題だな、どうしようかなと。

(c) BONES・岡村天斎/DTBG製作委員会・MBS

●作品について●

 解析不可能な異常領域「地獄門(ヘルズ・ゲート)」の出現により、本当の“ 空” を失った東京。それと呼応するように現れたのは、特別な能力を身につけた者たちだった。能力を得る代償として、人間らしい感情が希薄になり、人を殺めることさえ冷徹に行う彼らを、人々は畏怖を込め、「契約者」と呼んだ。ゲートに秘められた謎をめぐり、各国の諜報機関は「契約者」を利用して熾烈な諜報戦を繰り広げている。主人公・黒(ヘイ)も「契約者」の一人として、各国から送られてくる予測不可能な能力を持った敵の契約者たちとの闘いに身を投じていく。(※「DARKER THAN BLACK 黒の契約者」公式サイトより引用、編集。公式サイトはこちら

 「DARKER THAN BLACK」は、岡村天斎監督によるオリジナル作品として出発したシリーズ作品。2007年4月に第一弾「黒の契約者」、2009年10月に第二弾「流星の双子」がそれぞれTVシリーズとして放映され、さらに「流星の双子」のブルーレイ&DVD偶数巻に収録される形で、完全新作「黒の契約者 外伝」が今年の1月よりリリースされている。

 出荷本数は「黒の契約者」DVDシリーズ全9巻が累計約11万本、「黒の契約者」Blu-ray BOXが約1万3千本超、「流星の双子」第1巻がBlu-ray&DVD合計約2万本超(いずれも2010年4月現在)。1巻に付き1万本以上でヒットといわれる現在のアニメ市場の中で、本作は長期間に渡り好調なセールスを続けている。

(c)BONES・岡村天斎/DTB製作委員会・MBS

――私も個人的には、類型化しがちな性分なので耳が痛いのですが(笑)、類型化したいという欲望は、なぜ起こるのだろうと思いますか。

岡村 類型化というのも、「明文化」「テキスト化」(第2回参照)のひとつだと思いますよ。全てを明文化して「分かるもの」にしておきたいという。「早くものを分かりたい」という気持ちのひとつですよね。

 今のアニメーションのお客さんは、これはアニメーションに限るのかどうかわからないけれど、物語を全部見終わったときに、登場人物の素性などがすべて露わになってないと納得しない人が多い。だから物語の作り方も、神様が天上から登場人物を見ているような、お客さんは神様の視点になって登場人物や物語構造のすべてを把握できるような、そんな作り方が喜ばれたりするんですけれども、僕はそれはちょっとやりたくなくて。

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