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戒名ビジネスにうんざり、だから『葬式は、要らない』
~「個人化」する葬式の行方

2010年4月28日(水)

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葬式は、要らない』島田裕巳著、幻冬舎新書、777円

 日曜の朝早くに、父が、「お墓の永代供養を決めた」と電話してきた。めったに自分から電話してくることのない、お坊さんが帰るやいなや「坊主丸儲け」とつぶやいてきた爺さんである。どうやら、家を出ていったセガレどもはアテにできんと腹をくくったらしい。

 なりゆきで、オヤジの葬式はどうしたらいいのかと訊ねてみた。「いらん」「いらんの?」「ああ」。オヤジは長年の積み重ねで、親族との折り合いが悪い。出不精で会社を退職してからのつきあいの範囲も限られている。

「だったら何もしないよ」「?! 何もって…」「葬式せんから」「そ、そら、困る」「いらんて、いま言うたじゃない」

 田舎暮らしのオヤジは、リッパなものは必要ないというだけのこと。というか、なんでそんな話を持ち出すのかと不機嫌になった。面倒は後回しにしたがるワタシの性分は、どうもこのオヤジに似たんだなと思う今日この頃だ。

高すぎる日本の葬儀費用

 さて。本書は、葬儀やお墓の「常識」「無知」に一石を投じるものだ。

 全国平均、231万円。

 これは葬儀費用で、香典返しや飲食関係に40万円。戒名料や寺へのお布施に55万円が相場らしい(07年の日本消費者協会の調査)。英国の20倍、アメリカの5倍で、日本は突出して葬式にお金をかける国なのだとか。しかも不況というのに年々、高額化の傾向にある。

 いっぽうで、「直葬」も増加している。遺体を病院から直接火葬場へと送り、近親者だけで通夜を行う、もっとも簡易な葬式で、これまでは身寄りがない人や生活困窮者が利用すると思われがちだったが、故人が高齢の場合「会葬は不要」とする遺族が増えつつあるという。

 まあ「仕分け」のご時世である。お坊さんを呼ばない「無宗教葬」にして、戒名は自前、一周忌や三回忌も家族だけが集まる食事コースなら10万~30万円で済ませる方法もある。こうした超スリムプランに賛同するひともあれば、「抵抗」を覚えるひともいるだろう。

 葬祭ビジネスの裏側を暴いた本は数々あったが、それらと異なるのは、豪奢な「葬式仏教」が浸透するにいった仏教史をわかりやすく解説していることだ。著者は宗教学者であるというのも、ヒットの理由だろう。

 ケチだと思われるのは、不本意だし、「みなさん、そうされていますから」と言いなりになるのも納得できないし。かといって、毅然として「それはいりません」と断る勇気もないという読者にとって、本書の後ろ盾効果は大きいだろう。思い出すのは、ひところベストセラーとなった本多勝一の『NHK受信料拒否の論理』だ。

 もとをたどれば、花で飾り立てる祭壇に象徴される「葬式仏教」は、平安貴族が贅沢な暮らしを死後にも持ち越すことを願ったのがはじまりだという。

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