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「今一番やっていけないのは、我々自動車メーカーのマネです」

第40回:三菱 i-MiEV【開発者編・後編】

2010年5月6日(木)

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 前回ご案内したジャスト・ギビング・ジャパンのチャリティチャレンジ。記事をアップした当日に、早くも15名の方からご寄付を頂きました(一番早い方は何と朝の5時台から!)。

「チャリティチャレンジ」に応援ありがとうございます

 ありがとうございます。感謝感激であります。さすが当欄の読者諸兄は動きが早い!さあさあ、まだ迷っているそこのあなた。「迷ったら踏め!」はレースの鉄則です(でもないか……)こちらをガツンと踏んで下さいませ。編集Yさんもボサッと見てないでほら。

 吉田氏のインタビューが終わってから数日して、日産自動車の電気自動車リーフの“戦略的な価格”が発表されました。そして同じ日の午後には、三菱自動車が更にその価格を下回る、ケンカ上等! 買うたろやないかいコラ的価格を発表します(しかしヤジウマとしてこんなに面白い展開はございませんですなぁ。いいぞいいぞやれやれ~ってな感じです。日産はレイズしないのかしら……)。この俄に巻き起こった“価格競争”により、減税・補助金を併せると、個人の顧客にとってもいよいよ“現実的な価格”に近づきつつあります。実際、双方のディーラーには結構な数の予約が入って来ています。漸くして本格的な電気自動車時代の幕開け、と言ったところでしょうか。

 しかし、ここに至るまでの道のりは決して平坦ではなかった。むしろ“茨の道”と言っても過言ではないほどに厳しいものでした。常に笑みを湛え、派手なボディアクションで話す吉田さん(吉田裕明氏・開発本部 EV・パワートレインシステム技術部担当部長)の姿からは、決してそのようなご苦労を感じることは出来ませんが、ある時期三菱の電気自動車は本当にヤバかったのです。今回はその辺りから伺いましょう。

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*   *   *

フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):大変申しわけありません。少しイヤなことを伺います。三菱自動車で起きた一連のリコール隠し事件。あの事件は、EVの開発に関して何か悪い影響を与えたでしょうか?

吉田(以下、吉):2000年に発覚したリコール事件ですね。あの時はお客様からの信頼を無くしてしまって、シェアがガツンと落ちたんです。

F:落ちましたか? やはり。

吉:落ちましたね。アンケートを取ったら三菱自動車というだけで無条件に買いたくない、というお客様が半分以上もいらっしゃって……。売り上げも激減して、三菱グループでもよう支え切れんという事態になってしまった。そこに手を挙げてきたのがダイムラー・クライスラーです。資本を受け入れて傘下に入った。三菱自動車はダイムラー・クライスラーの一部門になったのです。

 ちょうどそのころ我々は、電気自動車の開発でリチウムイオン電池とPMモーター(これも前回参照)の研究開発をしていました。これはある程度造り込んで、FTO(2000年まで生産されたスポーツクーペ。名車。日本カー・オブ・ザ・イヤーも受賞している。。赤城欣市のプロレス団体では無い)とエクリプス(北米三菱自動車が生産するスポーツコンパクトカー。日本では不発だったが、アメリカではかなり人気がある)のEVを試作しました。例のカリフォルニアのZEV(ゼロ・エミッションビークル、前々回参照)規制にも対応できる車両です。

F:むこう(ダイムラー・クライスラー)は三菱のEV技術を狙っていたのでしょうか?

吉:そうは思っていなかったようです。電気自動車を三菱の中でやっているなんて、彼らはあまり意識していなかった。

F:へえ? すると彼らは何を狙って三菱をターゲットに……?

吉:やはり小型車ですね。小型車の生産技術が欲しかった。それと(バス・トラックの)“ふそう”に興味があったのだと思います。結果的に、(提携解消後も)ふそうはダイムラー・クライスラーグループの一員ですから……。提携が決まってから、ダイムラー・クライスラーの幹部がエクリプスEVに乗りに来ました。クルマから降りてきたら、これは凄い! メルセデス同等の品質が有るじゃないか、と称賛してくれました。

F:やりましたね!

「おつかれさん。EVはクライスラーがやるからさ」

吉:でも開発はこれ以上続けなくても良いよ、と。EVはクライスラーがやるからさ、と。当時クライスラーはカリフォルニアで年間35000台以上売っていましたから、クライスラーが対応すべき話だと言うのです。

F:あちゃあ。高級車のメルセデスは、そもそもそれほど台数が出ないから関係ない。

吉:そう、メルセデスは関係ない。クライスラーです。結局彼らはGEMというゴルフの電動カートみたいのを造って、ZEVのクレジットを稼いでいくことになります。

F:ゴルフカート!? そんなのでもクリアできるんですか。

三菱自動車 開発本部 EV・パワートレインシステム技術部担当部長 吉田裕明氏

吉:当時はそれでもクリアできてしまいました。さすがに今はダメになりましたが。すると三菱の電気自動車開発はもう必要無いだろう、という話になってくる。直接言われはしないのですが、どうも上の方ではそんな話になっていることが漏れ伝わってくる。これはかなりヤバいらしいぞ、と。何しろ親会社の都合が最優先ですから、あちら様に言われたらひとたまりもありません。そんな危機的状況の中、貴島(彰)常務(当時)という方が向こうを説得して回ってくれたんです。ダイムラーもクライスラーも持ってない技術だし、これは将来必ずモノになりますよ、と。

 ハイブリッドだろうとEVだろうと、高性能なモーターと電池は絶対に要るでしょう、10人位なんだしやらせておきましょうや、と根気よく説いて回って下さった。三菱のEVはそれで生き延びることが出来たんです。

F:貴島さんは凄い方ですね。先見の明があるし、説得力もある。

吉:三菱の電気自動車の恩人ですよ。今はもう定年退職されましたけれども……i-MiEVがこのような形で市販されることになって、それはもう喜んでおられます。我々は本当に感謝しています。

F:それ以降は順調に開発が進んで……。

吉:いや、そう簡単には行きません(笑)次なる問題の発生です。2004年問題。

F:あの……またまたイヤな話でスミマセン。トラック・バス部門の更なるリコール隠しが発覚したのが確か……。

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「「今一番やっていけないのは、我々自動車メーカーのマネです」」の著者

フェル

フェル(ふぇるでぃなんと・やまぐち)

コラムニスト

堅気のリーマン稼業の傍ら、細々と物書きの真似事をしております。最近は講演やらテレビ・ラジオへの出演も増えてきました。いったい本業は何なのか自分でもよく分からなくなっています。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師