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通信市場の変革に賭けた武者たちの物語

『挑戦者』

  • 小林 佳代

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2010年5月11日(火)

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 本書は、稲盛和夫氏が第二電電(KDDI)を設立し、日本の通信業界に変革を巻き起こした過程を綴った物語である。関係者の証言を基に構成した「ノンフィクション小説」というスタイルで、登場人物はすべて実名。稲盛氏をはじめ、通信市場の変革に賭けた武者たちの挑戦の軌跡を詳細にたどっていく。

 1982年、第二次臨時行政調査会は明治以来百有余年、日本電信電話公社(電電公社)が独占してきた電気通信事業への新規参入を認めるべきだとの方針を示した。だが、巨大企業が相手の通信市場に新規参入しようという企業は現れない。「正しい競争を起こし、電話料金を引き下げたい」という思いを募らせた稲盛氏は、悩みに悩んだ末、挑戦者として名乗りを上げることを決める。

「思いは純粋か、正しい動機に基づいているか」と自問自答

挑戦者』 渋沢 和樹 著
日本経済新聞社 1680円

 その過程で、「思いは純粋か。正しい動機に基づいているか」と自問自答を繰り返しているのが印象的だ。使命感に一点でも不純な濁りがあれば、電電公社と対峙する際に自分を駆り立たせ、勇気を奮い起こすことはできない。問いかけを重ね、揺るぎない確信を得た稲盛氏は、総資産10兆円、従業員32万人の電電公社に挑戦するという無謀とも思えるプロジェクトに取り組む。

 千本倖生(現イー・アクセス会長)氏、小野寺正(現KDDI社長兼会長)氏らの人材を電電公社から引き抜き、盛田昭夫・ソニー会長、飯田亮・セコム会長(いずれも当時)、牛尾治朗・ウシオ電機会長ら同士の経営者と株主を集め、85年4月、電電公社の民営化と通信事業の自由化を定めた電気通信改革3法の施行と同時に事業会社・第二電電を立ち上げる。

 新会社設立後も困難は続いた。通信手段の確保に苦しみ、ネットワークセンター建設に手間取り、新電電ライバルとの顧客獲得競争で劣勢に立ち、回線容量の不足に直面する…。たびたび、八方ふさがりに思える状況に追い込まれるが、稲盛氏や社員たちは創意工夫を凝らし、「日本の電話料金を安くする」という目的に向け、一つひとつ問題を解決していく。

 最も興味深いのが、携帯電話事業進出時のエピソード。電波容量が十分でなく、移動体通信への参入を目指す第二電電と日本高速通信との間で事業の一本化を進める必要が生じたが、話はなかなかまとまらなかった。日本高速通信は需要の大きい東京、名古屋を営業エリアとする事業展開を主張。最終的に稲盛氏は「苦渋の選択」としてそれを受け入れ、圧倒的に不利な状況を打破するための戦略を構築する。

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