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セレブのつぶやきと「裸の王様」

2010年5月14日(金)

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 女子柔道の五輪金メダリスト、ヤワラちゃんこと谷亮子さん(34)が、この夏の参院選に出馬する意向を表明した。所属は民主党。比例区での出馬が内定しているのだという。このほか、プロ野球の元巨人軍監督、堀内恒夫氏(62)が自民党比例区から、同じく元巨人軍の中畑清氏(56)が、たちあがれ日本から公認候補として参戦する(比例区)ようだ。

 なるほど。

 私は政治には関心がない。
 というよりも、政治家を信用する気持ちになれないのだな。
 アタマの良い政治家を見ると、人格を疑いたくなる。
 といって、情熱を持った政治家の場合、アタマの出来を疑ってしまう。

 清廉な政治家は手腕において信頼できないし、逆に、実行力のある政治家は悪党に見える。
 偏見かもしれない。
 でも、そう見えるのだから仕方がない。
 もしかして、政治を悪くしているのは、政治家を尊敬しない私たちなのだろうか。

 一方、私は、スポーツ界の人間には点が甘い。とにかく、スポーツの世界で一流の実績を残した人間に対しては、どんな分野の選手であっても、一定のリスペクトを抱くことにしている。

 スポーツの世界は、フェアな世界だ。その全方向的にフェアな環境の中で抜きん出た存在になるためには、身体能力において優れているだけでは足りない。苦しい練習を続ける忍耐力と、勝っておごらない人格の高潔さと、多面的な競技生活を効果的に運営する知性のすべてを、兼ね備えていなければならない。その意味で、一流のアスリートは、全力で尊敬するに値する人物だと思う。

 ところが、スポーツ選手の競技生活は、おどろくほど短い。それこそ、あっと言う間に過ぎ去ってしまう。
 と、引退したスポーツ選手は、ちょっと厄介な存在になる。

 なにしろ若いから。

 普通のサラリーマンの世界で言えば、若手社員ないしは新米営業マンぐらいであっておかしくない年齢で、彼らは、職業上の老後を迎える。それも、「名選手」「達人」「有名人」のオーラを身にまとった状態で、だ。

 これは、世間の人々にとっても、非常に扱いにくい。
 というのも、事実上役に立たないにもかかわらず、名前ばかりがやたらと大きいわけで、ということはつまり、競技の現場を離れた有名アスリートの名声は、モロに「虚名」だからだ。

 アスリートが自身の前半生を捧げてきた競技中心のカレンダーは既に失われている。と、それまでの節制と努力と情熱の対象を喪失した彼らは、一種の抜け殻として世間に対峙することになる。
 これは、非常に困った事態だ。選手、世間、双方にとって。

 で、政治が目をつけることになる。
 いつも同じだ。
 幹事長は虚名が大好きなのだ

 なぜなら、政治は、虚名を実体化する過程であり、無名の人々の利害をリーダーシップという偶像において屈折糾合する作業でもあるからだ。

 政治家にとって、名前ほど重要なものはない。
 名前が大きいのであれば、人間の中味は、希薄であってもかまわない。なんとなれば、選挙において得票をもたらすのは知名度のみであって、人間の内実は、政治単位としての抽象的な機能を果たす上では、むしろ邪魔になるかもしれないからだ。そう。看板にとって大切なのは、面積の大きさと、もう一つは厚みの薄さだ。とすれば、デカい看板は、ぜひとも薄っぺらであってくれないと困る。でないと、重くてかなわない。

コメント42件コメント/レビュー

大きい看板は薄っぺらでないといけない(笑)なるほど。(2010/05/17)

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「セレブのつぶやきと「裸の王様」」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

大きい看板は薄っぺらでないといけない(笑)なるほど。(2010/05/17)

掲載日から時間の経ったコメントは載らないようですが、不在のため本日読みました。そしてコメントします。運動エネルギーを位置エネルギーに変え、それを糧に余生を送る方法はいろいろあるでしょうが、政治家には最低限の施政適合のための偏差値の確認をしてもらいたいものです。あまりに酷い被選挙人では、この国は鼠の集団自殺のような状況に陥るような気がします。あきれて選挙自体への関心が萎えてしまうのです。豪腕は選挙民を小ばかにしています。(2010/05/17)

「情報を受け取る人は情報を作れない」にやられました。その通りです。このコラムを読むのも、現実逃避でしかありません。仕事にもどろ。読んでちゃ駄目だ、読んでる時間からは何も生まれない。(2010/05/16)

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