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77. 白黒はっきりしない世界に耐えつづけること。

田辺聖子『欲しがりません勝つまでは』

  • 千野 帽子

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2010年5月26日(水)

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 日直のボウシータです。

私の大阪八景』岩波現代文庫、945円(税込)

 田辺聖子の連作短篇集『私の大阪八景』(1965)と自伝的エッセイ『欲しがりません勝つまでは』(1977)は、いずれも戦時下の大阪の文学少女の日常を描いた作品です。NHK朝の連続テレビ小説『芋たこなんきん』(2006-2007)でも、藤山直美演じる作家志望の主人公の回想シーンとして、これらの作品の一部分が使用されていたと記憶します。

 『欲しがりません勝つまでは』の後半、敗戦の前年に、10代なかばの田辺さんは、樟蔭女子専門学校(のちの大阪樟蔭女子大)国文科に在籍し、中等教員の教員免許取得を視野におきつつ、小説の習作を書いていた。『欲しがりません勝つまでは』の魅力のひとつは、これら少女期の未発表作品からふんだんに引用されている部分なのですが、それはまたべつの話。

*   *   *

 女専に入学してできた友人のひとりに、お菓子屋さんの娘で東京生まれの〈竹本サン〉という美少女がいた。〈愛くるしい美人で、雰囲気からしてお嬢さん風〉だが、〈可愛い顔立ちに似ず、気は強いらしい〉。そして、〈こんな時代に、のんきに勉強つづけてられる?〉なんて時代を憂え血気に逸る、勇ましい戦時下の熱血愛国少女である。

私は竹本サンが、たいへん愛くるしい美少女なのにあこがれ、同じグループの仲間としてつき合うのがうれしかったが、でも、竹本サンに、私の書いた小説を見せるのは憚られた。竹本サンは、気の強い人なので、率直であり、ズケズケやっつけて、私をげんなりさせそうな気がしたからである。
 いや、それは竹本サンの目ききに不信感をもっているからかもしれない。竹本サンを信用していれば、ズケズケいわれても、それはそれで納得するはずである。

田辺さんはなぜ、竹本サンの批評眼に不信感を持ったのだろう。

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