• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

世界の貧困を救うために『裸でも生きる 2』
~途上国発のブランドで先進国とタイマン勝負!

  • 大塚 常好

バックナンバー

2010年5月26日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

裸でも生きる 2――Keep Walking 私は歩き続ける』山口絵理子著、講談社、1400円

 おそらく今一番注目されている女性起業家のひとりだろう。山口絵理子、28歳。

 バングラデシュなどでバッグを作り、日本で販売する「マザーハウス」の代表取締役兼デザイナーである。

 2年半前、会社立ち上げの様子を書いた前作『裸でも生きる』がヒットし、ドキュメンタリー番組「情熱大陸」でも、バッグ作りの一部始終を陣頭指揮するバングラでの密着取材が話題を呼んだ。本書は、「その後」の苦闘と成長を描いたものだ。

 今回、続編を取り上げたのは前作以降、著者に大勢の「熱狂的ファン」が群がるようになったことを知ったからである。ファンは、起業家という範疇を越え、一人の人間(女性)としての著者にゾッコンのようなのである。

 何しろたまに帰国して直営店など「店頭に立つ」日時がホームページで予告されるや、それを目当てに駆けつける客も多く、講演もその起業家スピリットに触れようといつも大入りだという。

 一体どんなカリスマ性があるというのか?

信頼していた部下の「裏切り」

 表紙の写真の通り、見た目はおっとり。笑顔が絶えない。「え、社長さん?」と誰もが思う草食系オーラだが、その経歴は波瀾万丈だ。

 詳細は前作に詳しいが、小学校時代にイジメられ、中学では非行に走る。埼玉県の大宮工業では柔道部員として全日本ジュニアオリンピック7位。高校は偏差値40未満だったが、猛勉強して慶應大学総合政策学部へ。「開発経済学」という講義に興味を持ち、国際開発金融機関でインターンを経験。その際、多額の援助金などが途上国へしっかり届いているのか疑問を抱き、バングラディシュの大学院へ。

 24歳の時に「アジア最貧国」のバングラの自前工場で、地元特産ジュート(麻の一種)や牛皮などを素材にしたバッグを日本人客向けに作り始めた。

 童顔でインパクト薄なその外見とは裏腹に、著者の信念はおそろしく強い。本書でも繰り返すようにその信念を語っている。

 その1、最近よく見られるフェアトレード商品は、現地の人が「かわいそうだから買ってあげて」と客のお情けにすがる部分もあるから賛同できない。

 その2、援助や寄付をアテにしたNGO(非政府組織)の活動にはサスティナビリティー(持続可能性)が感じられない。

 その3、これまで安い人件費で雇えると常に見下されてきた現地の人にも、日本市場で堂々と他社のブランド品と対等に戦える付加価値のあるモノを作れる技術があるはずだ。

 こうした硬派な哲学とでも言うべき考えを持つ著者は「途上国から世界に通用するブランドをつくる」ことを決心したのだ、と本書で当時を振り返る。

〈本当の意味で国際競争力のあるものを途上国から世界に展開することができれば、経済の構造はきっと変わっていくはずだ。それは持続的で、援助よりも多くの笑顔を実現できるはずだ〉

 ところが、会社立ち上げから今にいたるまで、トラブルが起きない日などない。街は非常事態宣言やテロ、停電。パスポート盗難。「裏切り」と犯罪に何度も絶望の淵に立ち、泣きながらも著者はバングラで会社規模拡大を目論む。

 例えば、以前「情熱大陸」のインタビューを受けて、著者の経営哲学を尊敬し「どこまでもついていきます」風に語っていたバングラ人の生産統括ディレクターが、なぜか突然退社してしまう。するとその直後、工場の貸主である大家は言った。「1週間以内に立ち退け」。

 「マダム(著者のこと)1人だとかわいそうだから」と、夜遅くまで残業をしてくれた忠誠心の高いベテラン職人もある日「辞めることにします」。退職金を規定よりも多く支払うと言うと、「もっと多く払え」と手のひらを返すように“悪者”となった。

コメント5

「超ビジネス書レビュー」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

本音と建前が違うことが問題の温床になっている。

川野 幸夫 ヤオコー会長