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混合診療は原則解禁すべき?

  • 木村 憲洋

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2010年6月1日(火)

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 本コラムではこれまで「国民階保険制度」「医療機関へのフリーアクセス」「医師数」「医師の収入」など様々なテーマについて、皆さんと議論してきました。その際、必ず何らかの形で、「増大する医療給付費をどうするのか?」が1つの論点になっています。

 医療給付費は、名前は似ていますが、医療費とは異なります。医療費とは、その名の通り、医療に要する費用全体を言います。一方、医療給付費とは、医療費から患者の自己負担分を除いたもの。つまり、医療に投入する国からの公費(税金)と保険料の合算額です。

 医療費の増大は、もちろん大きな問題です。しかし、より正確に言えば、国家財政が悪化の一途をたどる中でとりわけ問題視されているのは、医療給付費の増大です。医療給付費の増大への対応としては、国の歳入を増やすか医療への支出を減らすかしかありませんが、後者の1つの方策としてしばしば浮上するのが、「混合診療の解禁」です。

 これまでの議論の中でも、混合診療問題に触れる意見が少なからず見られました。そこで今回は、混合診療について皆さんと話し合いたいと思います。

混合診療が原則禁止となっている理由

 混合診療とは、同一の疾患に関する不可分の治療の中で、医療保険の適用となる医療サービスと、保険適用にならない医療サービスを併用することを言います。日本における運用ルールとしては、混合診療は原則的には認められていません。仮に、保険適用の医療サービスと保険適用外の医療(自費診療)を併用すれば、通常なら3割負担で済む保険適用部分も全額自費診療扱いとなってしまい、患者は多額の経済的負担を強いられます。

混合診療における現状の医療費負担

 では、なぜ、混合診療は禁止されているのでしょうか? 厚生労働省はこれまで、(1)有効性や安全性が担保できない怪しげな診療が横行する恐れがある、(2)自由診療が一般化することで経済力によって受けられる医療に格差が生じかねない――の2点を、その主たる理由として主張してきました。

 実は、混合診療は古くて新しい問題で、解禁派も決して少数ではありません。実際、小泉純一郎政権下で、解禁を求める声が非常に高まった時期もありました。2001年に閣議決定された「規制改革推進3か年計画」で混合診療のあり方が検討項目として挙がって以降、数年にわたり、解禁派である政府と厚労省は激しい応酬を繰り広げました。

 解禁派が訴える最大のポイントは、医療機関が患者から自由に徴収できる費用の範囲を拡大すれば、患者ニーズの多様化に対応できるという点でした。ただし、混合診療の原則解禁には、保険給付範囲の縮小の可能性がつきまといます。医療財政の立て直しのために、現在保険の対象になっている医療サービスを保険から除外する動きが活発化する恐れがあるからです。小泉政権下で、経済界の声を背景にしたいわゆる“規制改革派”が混合診療の原則解禁を強く求めたのは、それによる医療給付費削減が大きな狙いの1つと見られていました。

 結局この問題は、2004年、厚生労働大臣と当時の規制改革担当大臣が取り交わした「いわゆる『混合診療』問題に係る基本的合意」により、決着をみます。厚労省の強い反発で全面解禁には至らず、後述する保険外併用療養費制度を2006年にスタートさせることで幕引きが図られたのです。

地裁と高裁で分かれた混合診療の違法判断

 ところが、2007年、混合診療問題が再び注目を集めることになります。きっかけは、「混合診療の原則禁止は不当」だとして患者が国を訴えた裁判で、同年11月、東京地裁が原告勝訴の判断を下したことでした。この裁判については国が控訴し、2009年9月には、東京高裁において国の逆転勝訴が言い渡されました。その後、原告の患者は判決を不服として、最高裁に上告しています。

6月7日をもって投票の受付は締め切りました。ご協力ありがとうございました

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