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78. 大義でモノを言う人は、私情を公憤だと信じこんでしまう。

田辺聖子『欲しがりません勝つまでは』(2)

  • 千野 帽子

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2010年6月2日(水)

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 日直のボウシータです。前回は田辺聖子『欲しがりません勝つまでは』(1977)に出てきた愛国美少女〈竹本サン〉をご紹介しました。今回はその「竹本サン的」な人たちについて書いてみたい。

 竹本サンは従兄が出征したのを機に、「自分たちも国文学の勉強などしているばあいではない、いますぐ軍需工場に行って働き、お国のために働くべきだ」と血気に逸った主張をするのですが、クラスメイトたちにはイマイチ受け入れられず、友成先生には、じゃあなんで国文科になんかに入ってきたの? ただの注意力散漫なんじゃないの?ともっともなツッコミをされてしまう。ついに竹本サンは、〈あたしのいってること、ほんとに憂国の至情からいってるんです〉と言い捨てて半泣きで教室から出て行ってしまったのでした。先生は、

〈憂国の至情というより、私情の方ではないかね〉

と、うまいことを言います。竹本サンは熱弁事件のあとすぐに学校をやめてしまい、作中にはその後登場しません。

 さて、私は前回、つぎの箇所を引用しました。

〔…〕竹本サンに、私の書いた小説を見せるのは憚られた。〔…〕それは竹本サンの目ききに不信感をもっているからかもしれない。竹本サンを信用していれば、ズケズケいわれても、それはそれで納得するはずである。

そして、田辺さんはなぜ、竹本サンの批評眼を信頼できないと感じたのか、という問いを立てておきました。『欲しがりません勝つまでは』の本文中に書かれていないその答えが、上述の挿話にあらわれているのに、みなさんはもうお気づきのことでしょう。

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