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平気でナンセンスなことを言う『考えない人』
~野球を知らない女性が「つまんない」とこぼした試合とは?

  • 浅沼 ヒロシ

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2010年6月9日(水)

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考えない人』宮沢章夫著、新潮社、1365円

 著者の宮沢章夫氏は、劇作家であり演出家である。1980年代半ばに、いとうせいこう、竹中直人と共に劇団を立ち上げ、作、演出をすべて手がけていた。

 演劇だから、もちろん台本があり、何度も舞台稽古を重ねて芝居を作り込んでいく。いとうせいこうも、コンセプトをしっかり決めて笑いを作り込んでいくタイプだったが、逆に竹中直人は、「笑いながら怒る人」のような即興劇を得意としていた。

 作家が台本に「笑いながら怒る人」と書くことはあり得ない。役者がどう演じていいか分からないし、そもそも芝居の流れのなかで、何の意味も持たせられないからだ。ところが、竹中直人が「笑いながら怒る人」を演じると、破壊的におもしろかったという。

 一見、なにも考えないで出てきたような竹中直人の「考えないぶり」が心に残り、宮沢氏はその後「これ、考えてないなぁー」という事象との遭遇に敏感になった――。

 新刊書の著者にインタビューするJFN系列の「ラジオ版・学問ノススメ」という番組で宮沢氏が語ったところによれば、以上が本書の成り立ちである。

 続けて宮沢氏が強調したのは、生きるということは豊かさであるし、豊かさの中には考えないことによる豊かさがある、ということだった。考えないことは大変であり大切であるから、本書は「ある種、修業の書といってもよい」、とまで言い切っていたが、言いながら笑っていたことも、お伝えしておく。

 「修業の書」との位置づけは本気なのか? 冗談なのか?――と、目くじらを立てて追究するのはいったん忘れ、ともかく本書に登場する“考えない”人々を見ていくことにしよう。

新規バンドの活動にあたって全パート募集します

 雑誌やネット上の「メンバー募集欄」には不思議な内容が多く、特にバンドのメンバー募集は秀逸だ。

 たとえば「東京・V系ドラム、上手ギター、下手ギターを募集します」。

 「上手ギター」=じょうずなギタリストを募集するのは分かるが、へたなギタリストも募集するのだろうか。たぶん舞台右側(上手)に立つギタリストと舞台左側(下手)に立つギタリストを募集しているのだろうが、これでは誤解を与えてしまうではないか。

 言葉づかいを考えていないだけならまだいい。どんなバンドを組もうとしているのかよくわからない「新規バンドの活動にあたって全パート募集します」という告知もあった。

 ふつうは、どこかのパートが足りないから募集するのに、「全パート募集」とはどういうことか。募集した人はどの楽器を演奏するというのだろう。おまけに、「初心者・未経験者歓迎、楽しくやりたい人を望みます。男女国籍不問」と間口をひろげている。誰でもいいから募集するというのは、怪しいだろう!

 「ギター以外はそろってます」という募集もあった。

〈ギタリストはバンドの華じゃないか。前に出て行くのが恥ずかしいのだろうか。女の子にもてようとか、そんな気持ちもないのだろうか。そんな消極的なバンドで大丈夫なのか、読む者を心配にさせるのだ〉

 野球のことをよく知らずに球場に行ったという宮沢氏の知人もすごい。

 野球というゲームの細かなかけひきを知らないのだから、「すごくつまんなかった」という感想はもっともなことである。しかし、続けて話を聞いた宮沢氏は驚いた。

「だってさあ、広島がさあ、ヒット1本も出なかったんだもん」

 えっ? それってノーヒット・ノーランじゃないの?

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