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Vol.2 「ありがとう」に応えきれなかった、わたし

  • “う”あがりOL

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2010年6月11日(金)

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(前回「Vol.1 『ありがとう』と言われたかった、わたし」から読む)

 NBO編集長未公認、「下山論プロジェクト」へようこそ。本企画を地道にこっそり展開中の編集Y(@日経ビジネスアソシエ)です(ツィッターは●●●)。連載第1回「Vol.1 『ありがとう』と言われたかった、わたし」にたくさんのコメントをありがとうございました(こちら)。筆者の「うあがりOL」さんも大変励まされております。

 こういう内容の記事を目にした方には、「では、(まだ)発病せずに済んでいる人はどうなるんだ」という、もっともな思いが生まれると思います。現実問題として、避けて通れないし、避けるつもりもありません。そもそもこの企画は、うあがりOLさんが「う」(申し遅れましたが、この連載では「う」は、「うつ病」のことです)を患った自分が、戻ってきた職場にどう適応していくのかを書きたい、と発意して始まったお話なのです。

「うつの湯」をあがれば、新しい道が見えてくる

 ちょっとだけ「う」の湯に足の先を突っ込んで逃げてきたワタシですが、この病にかかった後では周囲の見え方が変わります。それは、決して「う」の人にも周囲の人にも、不利益な、不都合なことばかりではありませんでした。そこをこそ、下山道の出口に見定めたい。

 とはいえ、そこまで読んでいただくには、まずは彼女の「下山」までの道行きを知って頂かねばなりません。しんどいお話も多々出て参りますが、お付き合いをお願いいたします。そして、初めてご覧になる方にはぜひ、当プロジェクト第一弾、計見先生の記事(「お父さんが『眠れない』のは、心の問題ではない」)も、ご併読いただければ幸いです。(Y)

 「う」と診断された当初、私は半信半疑でした。

 確かに、出社しようとすると、悲しくもないのに涙が出て止まらないのはオカシイ。でも、「私は本当に“うつ”なんだろうか?」という疑問がずっと胸にくすぶり続けたのです。

 うつ病は「目で見てわかる」病気ではありません。熱や咳が出ないのは言うまでもなく、レントゲンに病巣が映るわけでもない。もちろん、エコーで異常なカゲが見つかることもなく、血液検査でナニカの数値が高い低いと問題になることもありません。それゆえに、疑問を抱き続けてしまう。

 「体調が悪いのは疲れているからか、それとも、怠けているだけなんじゃないのか?」と。ある、う友(うつ病の仲間)は、症状が進んで以降も、なお「自分は本当に病気なのか? 実は仮病なのではないか?」と悩み続けていました。

 そして私はといえば、「うつ」と診断された後も、しばらくは出社して仕事を続けました。すべてはいつも通り。どこが悪いのか自分でもわかりませんでした。

 でも、診断が間違っていたんだと半ば確信しかけた矢先、再び、会社へ行こうとすると涙が出て止まらず、ソファから立ち上がれない朝が訪れます。

「いったい、何なの?? コレは?」

 それから私は、会社を休むよう主治医に指示されました。

「ちょっと働き過ぎただけ。1週間も休めば、すぐに治るはずだわ」とタカをくくっていましたが、主治医は「最低でも1カ月は休むように」と言い、「本当なら3カ月は休んだほうがいいんですよ」とも付け加えました。

1カ月、何をしてもいいと言われたらどうします?

 「そんなに? 私はそんなに悪いんですか?」と聞くと
 「うつ病の治療では休養が大切なんです」と主治医は言います。

 それでも、「3カ月も休んだら、会社に戻りづらくなります」。
 そう言って、私は1カ月の休みを選択。

 入院も勧められましたが、家族の勧めで、近場の海と山に挟まれた温泉地にある湯治客用の宿に、長期滞在することにしました。家族や友人が代わるがわる訪ねてくれることになり、会社を休む日々が始まったのです。

 突然、ふってわいた長期休暇。友人と海外旅行に行く時だって、1週間以上の休暇なんて取ったことはありません。何をして過ごせばいいのか。

 …ちょっとワクワクしちゃいそうですよね、こう聞くと。

 本を読むのも、のんびりするのも、なんだってできそうです。では当時、私はどう思っていたのか。そのときの日記(付けておくものですね)を見てみましょう。

「今日は会社に行けそうな気がする。でも、明日は? 明後日は? と聞かれたら、答えはわからない。行けるのかもしれないけれど、行けないかもしれない。私はいったいどうなってしまったのか?」

と書いています! ああ、ワクワクどころか、自分ですら不透明な毎日の始まりだったのでした。

 病気が病気なので、仕事のことは考えないようにしましたが、
「みんなはどうしているだろう? 私が休んだ分、みんなに負荷がかかっているはずだ。申し訳ない…」
 と、いたたまれない思いはつのります。

「おかえりなさい!」と、涙を流してくれた後輩

 休み始めた数日間は、私が担当の連載はだれが代わることになったのか? ライターさんとの連携はうまくいっているだろうか? と、ふとした瞬間に残してきた仕事のことが頭をよぎりました。それでも、青い海、流れる雲を眺めて数日もすると、気持ちにはどこか「投げやり」(?)いや、「開き直り」(?)なところも生まれてきました。なるようにしかならない。職場のことをアレコレ思い悩んでも、いまの私にはどうすることもできない。それならば、いっそ、考えるのはやめよう、と。

 東京を離れたことが、良かったのかもしれません。

 海に面した部屋のカーテンを開け放し、日の出と共に目覚め、海を眺め、湯に浸かり、眠る。散歩がてら街へ買い物に行き、簡単な料理を作って食べ、日没と共に眠る、という毎日が続いたような気がします。家族が訪ねてきたり、友人が来てくれたりして1カ月はあっという間に過ぎました。空と海の青さと、陽射しのあたたかさ、そして、夜の海の暗さが、いまも印象に残っています。

 そして私は会社に戻りました。

 編集部へ戻ると、後輩女子が「先輩~、おかえりなさい~、心配しましたよ~」と言って抱きしめてくれました。
 帰ってきたんだ、ああ、良かった、と涙が出ました。

 でも、私の闘病生活はまだまだ始まったばかりだということを、このとき私も、優しい後輩女子も知る由もありませんでした。

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