「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 〜世間に転がる意味不明」

おそらく、うちの国の人たちは政変が好きなのだ

バックナンバー

2010年6月11日(金)

1/5ページ

印刷ページ

 菅直人首相の人となりについて、私は詳しい情報を持っていない。新たに大臣に就任した面々の政見や主張についても同様。著しく不案内、というよりもはっきりと無知だ。興味すら持っていない。

 なので、新首相ならびに新内閣について、現段階であれこれ言うことは控えておく。先方に失礼だし、読者の皆さんにもご負担だろうから。

 今回は、「うちの国では、どうして毎年のように宰相の首がすげ変わっているのであろうか」という疑問について考えてみることにする。

 この度の一連の出来事(鳩山さん&小沢さんの退任と菅さんの首相就任および菅内閣の発足)を通じて、私が一番意外に思ったのは、菅新内閣の支持率の高さだった。

 各社の世論調査を見渡してみると、菅直人新内閣の支持率は、どこの社のものでもおおむね60%前後だ。鳩山内閣末期の支持率と比べると3倍以上になる。これを受けて民主党の支持率も倍増している。

 どう解釈すべきなのだろうか。

 普通に考えて、新内閣は、清新なキャビネットではない。
 なにより菅さん自身、前内閣の副総理だった人だ。内閣のメンバーも、前政権と闘った人々ではない。前任者を追い落とした結果誕生したチームでもない。

 有り体に言えば鳩山さんの突然の退陣を受けて、副総理であった菅直人氏が後任におさまったカタチだ。言ってみれば敗戦処理内閣。6点差で負けている8回裏に登板した左翼手ぐらいな力加減。持ちダマはアウトローに落ちるシンカー。もちろん、捕手に向けてボールを投げるのは生まれてはじめてだ。

 後期鳩山内閣と呼んでも良い。でなくても、成立過程や枠組そのものがどうにも暫定内閣じみている。
 とすれば、首班の顔ぶれが変わったからといって、劇的な変化が望めるはずもないわけで、してみると支持率が3倍に跳ね上がったりするのは、スジからしておかしな話なのだ。

 が、事実として、数字はジャンプアップしている。ピヨーンと。ウソみたいに。
 どうしてこんなことが起こったのだろうか。

 わが国では、2006年に小泉さんが退陣して以来、この5年の間に、同じことがなんだかんだで4回繰り返されている。
 パターンは以下の通り。

1. 新首相誕生&新内閣発足。発足当初は50%を超える高い支持率で国民の熱い期待を集める。
2. 不祥事続発&スキャンダル連発。
3. 半年から一年で、内閣の支持率は半減。末期には20%を切る。
4. 首相が突然辞意を表明する。
5. 1に戻る。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。


関連記事

Keyword(クリックするとそのキーワードで記事検索をします)

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
内容は…
この記事は…
コメント80 件(コメントを読む)
トラックバック
著者プロフィール

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

小田嶋 隆

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、小学校事務員見習い、ラジオ局ADなどを経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。近著に『人はなぜ学歴にこだわるのか』(光文社知恵の森文庫)、『イン・ヒズ・オウン・サイト』(朝日新聞社)、『9条どうでしょう』(共著、毎日新聞社)、『テレビ標本箱』(中公新書ラクレ)、『サッカーの上の雲』(駒草出版)『1984年のビーンボール』(駒草出版)などがある。 ミシマ社のウェブサイトで「小田嶋隆のコラム道」も連載開始。



このコラムについて

小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 〜世間に転がる意味不明

「ピース・オブ・ケイク(a piece of cake)」は、英語のイディオムで、「ケーキの一片」、転じて「たやすいこと」「取るに足らない出来事」「チョロい仕事」ぐらいを意味している(らしい)。当欄は、世間に転がっている言葉を拾い上げて、かぶりつく試みだ。ケーキを食べるみたいに無思慮に、だ。で、咀嚼嚥下消化排泄のうえ栄養になれば上出来、食中毒で倒れるのも、まあ人生の勉強、と、基本的には前のめりの姿勢で臨む所存です。よろしくお願いします。

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン

日経ビジネスからのご案内