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疑うことを疑い、反省することを反省する『社会学入門』
~定義不能な「社会学」の役割って何?

  • 麻野 一哉

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2010年6月23日(水)

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社会学入門――“多元化する時代”をどう捉えるか』稲葉振一郎著、NHKブックス、1124円

 ドラゴンクエスト(以下、ドラクエ)といえば、たいていの人がご存じだと思うので、引き合いに出すとしよう。このゲームを紹介するとき、大きく分けて2つの方法がある。

 1つは、ドラクエそのものを紹介する方法である。「1980年代に出たファミコンソフトであり、本格的RPGであり、少年ジャンプの鳥山明の絵が受けて大ヒットし……」といった具合だ。

 そしてもう1つ、外から攻めていって浮き彫りにする方法がある。たとえば、「指輪物語」以来のファンタジーから話を起こしたり、当時の主流、スーパー・マリオ・ブラザーズなどのアクションゲームと比べて説明したりする。先の方法が「粘土をこねて像をつくる」だとしたら、こちらは「まず枠をつくってから粘土をつめる」だ。

社会学には共通の基礎理論がない

 少し考えれば分かるが、前者の方が単刀直入で誤解も少ない。後者だと、外側をすべておおわないと完成しない。回りくどく、時間もかかり、大変だ。なのに、この『社会学入門』は、あえて後者の方法で社会学を説明する。「社会学とはこういう学問です。こんな分野があります」ではなく、〈世界の側から社会学を見る〉という方法をとる。

 なぜそんな方法をとるのか? 大変なのに。

 それは、〈社会学においては、「誰でもが共通の土台としてふまえる基礎理論」がはっきりと見あたらない〉からだという。

 これはつまり、「ドラクエはRPGです」という人もいれば、「いや、ドラクエはアドベンチャー」だという人がいたり、「ドラクエ1とドラクエ2がシリーズとは言えない」という人がいたりするようなもので、ドラクエってそもそも何なのかよくわかんない、ということに等しい。

 しかし、本当にそうなのか。そんなことってあるのか。この著者の個人的見解に過ぎないのでは?

 そう疑った評者は、もう1冊、『不思議なくらい見えてくる! 本当にわかる社会学』(現代位相研究所編)という本を読んでみた。これも入門書だが、こちらは前者の方法、つまり社会学の各分野を広く紹介している。

 この本の前書きが、またすごい。

「社会学という学問のあらましを知ることによって、社会とは何であるのか、余計にわからなくなることすらあるだろう」

「『社会のことを知るために、社会学を学ぶ』という道が、実は迷路以外の何物でもないということを、あなたは本書を通じて知ることになるだろう」

「しかし、それでよいのだ」

 いいんだ!

 バカボンのパパも真っ青だ。前書きにこんなことを書いて、はたして先を読み進める気になるのか心配だが、どうやらそういうものらしい。よくわかった。わかりました。とにかく社会学というのは、よくわからない学問だと。

 しかし、一体何でそんなことになってしまったのか。そんな、共通する基礎理論もない、学べば学ぶほどよくわからなくなる学問に、どうして社会学はなってしまったのか。

 言い換えると、

「社会学はどういう学問だから、そんな宿命を負ったのか?」

 話を戻すと、これが、本書『社会学入門』のテーマである。

 本書の慎重な著述をすっとばして結論だけいうと、それは、

〈社会学とは「近代とは何か」を問う学問である〉から、ということになる。

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