「“う”あがり美人になりたくて」

Vol.4 「好きなことをやりなさい」と言われても、思いつけないのが「う」なのです

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2010年7月9日(金)

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(前回「本当に『死にたい』、でもそれは病気が思わせているだけ!」から読む)

 みなさんこんにちは、「う」あがりOLです。

 前回の記事に、たくさんのコメントをありがとうございました。自分でも読んでいて辛いような内容で「こんなこと書いちゃっていいのかな…」と不安だったのに、「よく書いた」と言っていただけるなんて。コメントを読みながらうるうるしていたときにちょうど編集Yさんが電話してきたので、涙声で出てしまい「まさかあの記事で誰かにいじめられたのですか!?」と、余分な心配をさせてしまいました。「じ、じがいます(違います)、がいでよがった(書いて良かった)とおもって〜」と、鼻水を流しながら返事してしまいました。

皆さん、ありがとうございます

 多くの方に読んで頂けて、本当に嬉しいです。ありがとうございました。

 Yさんは鼻タッカダカでしたが、「でも、狙って受けたわけではないですし、元々ウケを狙う企画でもないですから、これからも書きたいこと、書かねばいかんと思うことだけを、淡々と書いていってください。結果としてまた受けたら万々歳ということで」と言っておりました。なので、日経ビジネスオンラインの中の「横町の団子屋」のつもりで、これからも地味におとなしく行きたいと思います。よろしくお願い致します。

 さて今回は、とある誤解を解いてみることができたらと思います。
 「う(うつ)」から立ち直るために「好きなことをしてみる」という考え方にまつわる、ちょっとした、でも深刻な誤解です。

*   *   *

 休職して、しばらくした頃、主治医に「何でもいいから、好きなことを始めてみてはどうですか?」と言われました。「自分の意欲が向くことなら、何でもいいですよ」と言います。

「仕事以外に、自分が楽しいと思えるモノを見つけることが大切です」。
「はぁ」。

 …意欲の向くこと。これが「う」の湯に浸かっている間は実に難しいのです。

失恋の最中に前向きなことは考えにくい…

 「仕事を休んでいいから、やりたいことをやってみては?」と、普段仕事に追われている間に言われたら、それはもう夢のようですよね。うっかりすると「いいなあ、そんなことを言われるのなら、オレも『う』の湯に浸かってみたいよ」くらいのことは、考えてしまいそうです。自分も一度この湯にはいるまでは、そう感じていたように思います。

 ところがです。この病気になっている間は、そもそものきっかけになる「意欲」が出てこない。なので、驚かれるかもしれませんが、やりたいことがなかなか思いつきません。

「途中ですみませんYです。全然違うかもしれませんけど、それって受験の失敗とか、手ひどい失恋とかの直後、みたいな気分ですかね?」
「うーん、それの拡大延長戦という感じでしょうか。『う』の場合は、その手ひどい失恋の直後の状態が、延々と続くんです。自力で浮上することも少なくて。沈み方のレベルにも違いはありますが、でも、瞬間的に味わっている気分自体は同じ様なものだと思います」
「こんなに好きだったのに、気持ちが通じなかった。もう、誰に何を言っても言われても、本当は通じないような気がする…みたいな。なんだかメシを食う気もしなくなったり、自分にとってダメなことばっかり考えたり」
「そうそう、ありますよねえそんなこと。Yさんも純情派なんですねえ」
「そんな気持ちの時に『好きなことをやってみたら』と言われてもなあ。なるほど。ちょっとだけ分かったような気がします」
「ねえねえ、ところでそれ、いつの話ですか? Yさんたら暗い目をして、もしかしてわりと最近?」

 私の場合ですが、体調は一進一退を繰り返していて、数日良い状態が続いたかと思うと、一転して低調になり、そのまま数日間は深く沈み続けます。

「まだダメなのか」
「いつになったら治るんだろう?」

 そんなことの繰り返しの中で、「意欲が向くこと」を探すのはとても難しかったのです。

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著者プロフィール

“う”あがりOL(うあがりおーえる)

仕事大好き女子だった雑誌編集部時代に働き過ぎて“う”を発症。「まさか、私が?冗談でしょ?」と驚きつつ、どっぷり“う”の湯に浸かり休職。リワークプログラムに通って昨年9月に職場復帰するも、いまも再発が怖い小心者のOL。趣味は書道、中国語。座右の銘は「七転び八起き」。



このコラムについて

“う”あがり美人になりたくて

 厚生労働省の患者調査によると、2008年10月の時点で「うつ病」患者数は104万1000人と、100万人を超えました。身近なわりに軽く扱える病気ではないし、患者、周囲ともに誤解も多いのが“う”です。個々の状況に応じて考えねばならない事も多い。それゆえ、総論として語るより、個人の体験としてお話しする方が、それも、本人ゆえに許される範囲で、深刻になりすぎることなく、できることなら笑って読んで頂けるようなしつらえを考えました。それが「“う”あがり美人」、というわけです。
 湯に入って出てきて「美人」にまでなったかどうかには実は自信はいまいちありませんが、とあるOLが、うつという病気にかかり、復職するまでの経緯と、それを通してこういう考え方もできるようになった、そのひとつの実例として、読んで頂ければ幸いです。

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