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仕事に『プライド』を持っていますか?
~不条理と闘うことの幸・不幸

  • 浅沼 ヒロシ

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2010年7月14日(水)

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プライド』真山仁著、新潮社、1470円

 本書は、『ハゲタカ』で知られる真山仁の初めての短編集である。

 〈何のために人は働くのか。そして、どうすれば矜持を守ることができるのか〉と問い続けながら、2年にわたって書きつづった6編の短編が収録されている。

 〈現代社会と対峙する物書きでありたい〉という真山だけあって、ニュースやドラマで話題になった事件が小説の舞台として登場する。

 「一俵の重み」では事業仕分けの対象となった事業を担当する役人が、表題作の「プライド」では期限切れ食材を使った食品会社の従業員が、「医は……」では私立大学の医学部の権力争いで放逐された外科医が、それぞれ職場の軋轢と戦いながら仕事への“プライド”を守ろうとする。

 逆境のときに主人公たちを支えてくれたのもプライドだが、そのプライドを守ろうとして結果的に職を追われたりもする。人の世の不条理を描きながら、真山は絶対に譲れないものとは何なのかを読者に問うている。

 いずれ劣らぬ問題作のなかから、6編めの「ミツバチが消えた夏」のストーリーを簡単に紹介させていただく。

なぜ悲惨な現実を「撮る」のか?

 学生時代にカメラの“力”を知った主人公の悠介は、世界中の貧民街を歩きながら写真を撮った。27歳で大きな賞を受賞し、世界から注目される。再開発が進むロンドンの廃墟で暮らす子どもたちを撮った写真が評価されたのだ。

 その後パリの写真学校で基礎を学び直し、今度は都市部の貧民街ではなく、国全体が貧困にあえぐ紛争地帯を取材先にえらぶようになった。

 飢餓で苦しむ子どもたちの姿を世界中に伝えよう、先進国が豊かな生活を享受する背景にどんな犠牲があるのかを伝えよう、と志す悠介だが、だんだん先進国の主要メディアで採用されなくなる。

 メディアに受け入れられないことも苦しかったが、「所詮、おまえは通りすがりの人間じゃないか。いつでも豊かな国に帰れる」と取材先で繰り返しなじられた記憶も彼を追いつめた。このまま写真を撮り続けていくべきなのか、と悠介は悩む。

 そんな時、悠介は銀座のビルの屋上で行われた養蜂教室を撮影した。「君自身が当事者になって、その想いを伝えるというのも、いいんじゃないかなあ」と養蜂家に言われたことがきっかけとなり、悠介は35歳で東北に引っ越して養蜂を営むことにする。

 養蜂家としてミツバチと接するうちに、悠介はミツバチの生きる姿がいとおしくてたまらなくなる。未来に希望を託そうとするするひたむきさを感じ、社会に対して問題提起する情熱のよみがえりを予感した。

 養蜂家の生活も3年をすぎたある日、巣箱に異変がおこる。とつぜん働き蜂が姿を消してしまったのだ。欧米で大量にミツバチがいなくなってしまったことをニュースが報じていたが、日本にも同じ現象が発生したらしい。

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