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かくしてW杯決勝戦は“荒れた”試合になった

新王者スペインと日本の近くて遠い距離

  • 森本 美行

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2010年7月23日(金)

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 前回の2006年ドイツ大会に続いてPK戦による決着か──。

 こう思われた延長戦後半の11分、ゴール前の右サイドでセスクからパスを受けたイニエスタが、ワントラップして浮かしたボールを右足で振り抜く。オランダ代表のゴールキーパー、ステケレンブルフが右手で弾くものの、ボールはゴールの左隅に吸い込まれた。

 土壇場で両者無得点の均衡を破る先制点を挙げたスペイン代表がそのまま1-0で勝利。サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会は、“無敵艦隊”の初優勝で幕を閉じた。

予想以上に激しい展開になった決勝戦

 7月12日に南ア最大の都市、ヨハネスブルグで行われた決勝戦。1カ月に及ぶ熱戦の最後を飾ったこの1戦を、日本では月曜日の未明という試合時間にもかかわらず、“ライブ”で観戦した人も多かっただろう。

 そうしたファンの方々は、この試合をどう受け止めただろうか。いつ均衡が破られるのかと固唾をのんで見守る一方で、あまりに激しい展開に戸惑った方も多かったかもしれない。

 激しい試合になった原因の1つは、オランダのファウルの多さにある。計14枚のイエローカードのうち、9枚までがオランダの選手。延長戦後半4分にはディフェンダーのハイディンガが2枚目のイエローカードを受けて退場となり、オランダは10人で戦わなければならなくなった。

 一言で評すれば、“荒れた試合”だった。それは、このコラムで毎回取り上げてきた「アクチュアルタイム(Actual time)」にも表れた。

 アクチュアルタイムとは、90分余りの試合時間のうち、セットプレーの間にボールをセットしたり、接触プレーで倒れた選手に応急処置を施したりする時間などを除いた、実際にフィールドでプレーが行われている時間を指す。

■ スペイン戦のアクチュアルタイム
対戦相手 アクチュアル
タイム
スペイン
保持時間 保持率
GL1 スイス 58分18秒 39分46秒 68.2%
GL2
ホンジュラス
54分55秒 31分42秒 57.7%
GL3 チリ 58分24秒 35分43秒 61.2%
ベスト16
ポルトガル
61分07秒 38分31秒 63.0%
ベスト8
パラグアイ
49分22秒 32分15秒 65.3%
準決勝 ドイツ 64分44秒 36分15秒 56.0%
決勝
オランダ
49分06秒 28分21秒 57.7%

※オランダ戦は延長戦の前まで

 次の表は、優勝したスペインの全試合のアクチュアルタイムとボール支配率をまとめたものだ。

 決勝のオランダ戦のアクチュアルタイムは、延長に入るまでの90分余りの試合時間で、49分06秒。50分を切った試合はほかに、準々決勝のパラグアイ戦しかない。

 一方で、決勝トーナメント1回戦のポルトガル戦、準決勝のドイツ戦はアクチュアルタイムが60分を超えた。

 オランダとの決勝戦は、イエローカードを伴うファウルが多く、選手が倒れている時間やカードを記録する時間などが長かった。その分、アクチュアルタイムも短くなってしまったのだろう。スペインにしてみれば、このようにプレーを“切られる”ことによって、リズムを非常に取りにくかったはずだ。

 このように荒れた試合をオランダが演出した理由の1つには、スペインの非常に高いボール支配率への対応があったと思う。

 1次リーグの日本代表戦では61.3%と、圧倒的にボールを支配したオランダ。この強豪でさえも、スペインの前には42.3%の支配率に押さえ込まれた。この数字が意味するところを解き明かしていこう。

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