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税金を納めるって、実は幸せなことだよね

2010年7月23日(金)

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 ご案内の通り、先の参院選は民主党の惨敗という結果に終わった。
 敗因については、いくつかの見方がある。

 最も有力な説は、菅総理(←「簡素売り」と変換してきたオレのワープロは天才だと思うぞ)が唐突に消費税率の見直しを言い出したことが有権者の反発を招いたとするものだ。たしかに、選挙前に増税の話を持ち出したのは、バクチにしてもスジが悪すぎたかもしれない。

 別の見方をする人々もいる。彼らによれば、選挙民が菅総理を見限った真の原因は、増税そのものにはない。敗因は、総理が一度言い出した増税の持論を世論の動向にひるんであわててひっこめたその定見の無さにこそ求められるべきであって、つまり、鳩山前総理同様、菅政権(→「管制圏」だと[笑])が「ブレまくって」いることが一番の問題なのだ、というのが彼らの見方だ。なるほど。これまた有力な分析だと思う。

 このほか、「政権や官房内から私見や異論や不規則発言が続々と出てくる事態=指揮系統の混乱→政権の体を為していない」、「鳩山政権の負の遺産」などなど、別の角度から見る議論もある。
 真相が奈辺にあるのか、私にはわからない。が、ともあれ、消費税に関する議論が大きな争点になっていたことだけは確かだ。
 税の議論は荒れる。
 まあ、荒れる議論を乗り越えないと事態は先に進まないわけだが。

 今回は消費税周辺の話をしたい。
 消費税それ自体について、特に明確な主張や意見を展開しようというのではない。
 当件については、はなはだ心もとないことに、自身、考えがまだまとまっていない。
 申し訳ない。

 ただ、まとまっていないなりに、まとまっていない現状を語るテはある。今回はそれをやってみようと思っている。
 たとえば、税金をめぐる議論になると必ず出てくる「勤労意欲」および「平等」について考えてみるというのはいかがだろうか。

 われわれは何のために働くのか。そして、働いているわれわれの何に対して税は課されているのか。
 収入、支出、あるいは勤労それ自体に対してであろうか。

 税金については、二つの異なった平等原則が並立している。
 ひとつは垂直的平等、いまひとつは水平的平等と呼ばれているものだ。
 水平的平等は、「万人が同等の税負担をすべきである」という考え方だ。消費税を推進している思想はこれにあたる。誰であれ市民は、消費という形で経済活動をする限りにおいて必ず一定の税負担を担うことになる。この点で、消費税は実にシンプルだ。徴税方法としても紛れやごまかしの生じる余地がない。非常にフェアだ。

 もうひとつの「垂直的平等」はちょっと角度の違う考え方だ。
 ここでは、「人々は、その収入にふさわしい額を負担すべきだ」というふうに考える。所得税における累進課税の原則がこの考え方に沿っている。すなわち、富める者は、貧しき者に比べて、より大きな税負担を引き受けるということだ。しかも、単純に税額を多く支払うだけではない。税率そのものを所得の多寡に応じて累進させる。であるから、たとえば10倍の所得を得ている金満家は、10倍でなく、30倍の税額を支払う。それでようやく実質的な平等に近づく。そういう考え方だ。これはこれで素敵なプランだと思う。

 で、現状、わが国の税制には水平的平等と垂直的平等の双方の原則が取り入れられている。諸外国でも同じ。所得税は累進課税。消費税率は一律。要はバランスということなのだと思う。

 こんなお話は当サイトの読者諸兄には先刻承知だったかもしれない。でなくても、テレビや雑誌で何度も紹介されている耳タコのお説教だ。
 にもかかわらずあえて私がこの話を持ち出したのは、この知識が個人的にちょっと特別なものだからだ。

 私にとって、世にある多くの知識は、聞きっかじりの耳学問だ。原稿として書くことになるネタにおいても同様。何割かは、書く直前に検索してきたばかりのモロな受け売りだったりする。うむ。恥ずかしい話だが。さよう。グーグル&ウィキペディア環境下にある人間は、いつしか20世紀の人々がアカデミズムに対して抱いていた真摯なリスペクトを失う。必ずそうなるのだ。私も喪失した。なあに知識なんてググればいいわけだろ、と、アタマのどこかで、そう考えている。つまり知識や象牙の塔みたいなものをバカにしはじめているわけだ。この考えを追い出すことはもはや不可能だ。だって、ググれば済むわけだから。現実に。

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「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「税金を納めるって、実は幸せなことだよね」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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