「フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える」

スポーツカーの“軍事クーデター”
CR-Zは革命巻き起こすか?

第52回:ホンダ CR-Z【試乗編】

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2010年7月29日(木)

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 さあさあお立ち会い。今回の“走りながら考える”は、友人知人関係各位から「いつになったらやるんだよ!」と散々せっ突かれていたホンダのハイブリッドスポーツ、「CR-Z」の登場であります。「スポーツカーは売れない」「2枚ドアは人気薄」なる昨今のイヤ〜な流れを根底から覆したナイスな1台です。発売1カ月にして、1年分のバジェット(販売目標)を埋めてしまったという超人気振りはみなさまもご存じの通り。当然報道関係からも引っ張りだこでありまして、試乗枠を確保するのが非常に難しい。週末を挟んでの長期試乗など夢のまた夢。その内に空くだろう……とノンビリ構えていたら、7月までずれ込んでしまったという訳です。
 CR-Zの発売日は今から4カ月月前の2月26日。あえて二・二六事件の日を選んだのは、ホンダがこのクルマに託す強い意志の表れでもありましょう。即ち「平成維新断行・尊皇討奸」。武力を持って腐敗の元凶である悪辣なミニバンを我が国の市場から排斥し、スポーツカーを頂点とする天皇親政を実現する……ワケないですね……。最近はホンダもミニバンばかり作っているのですし。

眩しい夏の日差しに輝くCR-Z。あ、もともと赤色でした
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 ともあれ、CR-Zの登場、そして絶好調の売れ行きが自動車業界に与えたインパクトは計り知れません。恐らく今後は「何だ、スポーツカーも売れるじゃん」と、“柳の下系”が続々と出て来ることになるのでしょう。実にメデタイ。よい流れです。馬券を握りしめ、「そのままー!!」と叫びたい気分です。

 CR-Zは、ホンダが「地球環境を意識したクルマ」として販売する「Honda Green Machine」の第3号(ちなみに1号は「インサイト」、2号は「シビックハイブリッド」)。インサイトをベースにスポーツ化を計った意欲作です。ワイド&ローの精悍なボディは、実物を見ると本当に美しい。歩行者対策で(以前、スバルの回でお話した、潰れて衝撃を吸収するという例のアレです)ボンネットを低く構えることが難しくなった昨今の流れからすると、このデザインは“驚異的”とも言える低さです。空気を切り裂くために思い切り寝かせたフロントガラスから続くラインは、ちょうどクルマの真ん中あたりから緩やかなカーブを描いて、ハッチバックへと繋がります。そしてリアの部分でストンと下に落ちる。これが溜息が出るほどに艶めかしい。

熱帯化するニッポンにはハイブリッドカーでしょう

 外見を見ただけで、乗り込む前から“速い”ことが分かります。いつものようにJR品川駅前で編集I氏からクルマを受け取った私は、車両の周囲を歩き回り、思わず唸ったものでした。

 それでは早速参りましょう。ホンダが産んだ小型軽量ハイブリッドの革命児。CR-Zの試乗記です。

 「いやぁ、今日も暑いですねぇマジで。雨が降るときはスコールみたいな勢いだし、熊谷じゃ39度ですって。日本は完全に熱帯性の気候になりました」。編集I氏は滴る汗を拭いながらスマートキーを差し出し、そう呟いた。排ガスが起因となる温室効果の影響(かどうか本当の所は分からないが……)で、地球の平均温度はジワジワと上昇している。これからはスポーツカーもエコじゃなきゃイカンのである。

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フェルディナント・ヤマグチ

フェルディナント・ヤマグチです。皆様と同じようにビジネスの最前線で仕事をする傍ら、アチコチの雑誌で連載を持っています。つまりクルマ業界に接してはいますが、本業ではない。首まで浸かっていない故、かえってギョーカイのシガラミや仕来りを超越して、好き勝手なことを書き倒すことが出来る微妙且つナイスなポジションに立っています。もちろん皆様と同じように昔からクルマが大好きで、学生時代はかなり無理をして懸命にクルマを購入したクチでして、一番最初に買ったのは、初代RX-7でした。最後は青山墓地の前で追突され大破してしまいましたが、あれは良いクルマでした。本業はかなり堅い会社で管理職を務めるリーマン稼業なものですから、顔出しNG&ペンネームで失礼いたします。や、そう警戒なさらないで下さい。決して怪しい者ではございませんので。



このコラムについて

フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える

 この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつかりました。どうぞよろしくお願いします。
 なに、“考える”と言ってもそれほど大袈裟なことではありません。クルマはこれからどうなって行くのか。現在売り出されているクルマは何を考え、何を目指して開発されたのか。実際にクルマに乗り、開発者に会ってお話を伺い、販売現場からの声にも耳を傾ける……。ビジネスはビジネスとして事実をしっかりと捉まえた上で、もうちょっとこう明るく楽しくクルマを味わって行こう、というのがこの「走りながら考える」の企画意図です。

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