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夏の甲子園本番、新たな怪物は誕生するか?

データで見るあの怪物たちの“真価”

  • 森本 美行

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2010年8月10日(火)

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 8月7日、第92回全国高校野球選手権大会が、兵庫県西宮市の甲子園球場で開幕。地方大会を勝ち抜いた代表49校が、全国4028校の頂点を目指す“夏の甲子園”の熱闘が今年も始まった。

 15日間にわたる熱戦を制するのはどこか。特に前年優勝の中京大中京(愛知県)の連覇、今春の選抜大会を制した興南(沖縄県)の春夏連覇という偉業が実現するのかどうかが注目される。

 大会3日目に当たる昨日の第1試合には、中京大中京が登場。南陽工(山口県)の岩本輝の好投に苦しみながらも、2-1のスコアで逆転勝ちを収めて1回戦を突破した。4日目の今日は、第4試合で興南が鳴門(徳島県)と対戦。春夏連覇に向けた最初の関門に挑む。

 優勝の行方とともに注目されるのが、将来はプロ野球、さらには米メジャーリーグで活躍するかもしれない“スター候補生”たちのプレーだ。

 興南の主力である左腕エースの島袋洋奨、主砲の我如古盛次をはじめ、投手では選抜ベスト4の広陵(広島)の有原航平や1回戦で智弁和歌山(和歌山県)に競り勝った成田(千葉県)の中川諒、東海大相模(神奈川県)の一二三慎太、打者では中京大中京の森本隼平、磯村嘉孝といった好選手たちのパフォーマンスに目を凝らしたい。

 前年の大会で最も脚光を浴びたのは、花巻東(岩手県)の左腕エース、菊池雄星(現埼玉西武ライオンズ)だった。彼は、昨秋のドラフト会議の直前に開いた記者会見で、メジャーリーグ挑戦を断念して日本のプロ球団に入ることを表明。その際に「悔いはないのか」と問われ、大粒の涙を流した。

 雄星がそれほど強い憧れを抱くメジャーリーグ。そこで1990年代後半にある革命が起きた。「セイバーメトリクス(SABRmetrics)」と呼ばれるデータ分析手法の導入である。

データがメジャーリーグに起こした“革命”

 セイバーメトリクスとは、アメリカ野球学会(Society for American Baseball Research)の略称であるSABRと「測定基準(metrics)」を組み合わせた造語で、野球の数値データを統計学的な見地から分析して、選手を評価したり、選手起用を考えたりするものだ。野球史研究家で、現在は米ボストン・レッドソックスの上級コンサルタントを務めるビル・ジェイムズが70年代に提唱した。

 その特徴は、打者なら「打率」「打点」「本塁打数」、投手なら「勝利数」「防御率」「勝率」といった、選手のプレーを評価する際に今も一般的に用いられている指標とは異なる指標を使って、選手を評価したり、戦術を考えたりする点にある。試合の勝敗を左右する得点と失点に直結するプレーだけを重視し、バントや盗塁の有効性を否定するなど、野球の伝統的な価値観を覆す点が含まれていたこともあって、90年代後半に入るまではメジャーリーグの球団で実際に活用されることはなかった。

 そうした状況を一変させる契機の1つとなったのが、90年代後半における米オークランド・アスレチックスの躍進だ。

 資金力に乏しく、スター選手がいないにもかかわらず、アスレチックスはレギュラーシーズンで好成績を残す。その背景には、ゼネラルマネジャーのビリー・ビーンの手腕があった。

 彼は、創始者であるジェイムズの著書を参考にして、セイバーメトリクスを導入。ジェイムズらが考案した新たな指標を使って、従来の指標では評価の高くないアマチュア選手や他球団の控え選手を再評価し、低予算で獲得した。それらの選手たちが新たな指標で再評価した通りの活躍を見せて、アスレチックス躍進の原動力となった。

 このビーンの辣腕ぶりは、米国の人気ノンフィクション作家のマイケル・ルイスが2003年に出版したベストセラー『Moneyball:The Art of Winning an Unfair Game』(邦訳版の『マネー・ボール 軌跡のチームをつくった男』は、ランダムハウス講談社が2004年に刊行)に詳しく描かれている。

 アスレチックスの躍進をきっかけにして、ほかの球団もセイバーメトリクスを相次いで導入する。今や多くの球団が、セイバーメトリクスに基づく選手の編成や評価を実施するまでになった。日本でもそうした傾向が強まりつつある。

 もっとも、セイバーメトリクスも万能なわけではない。これから紹介する特定の指標で打者や投手の能力をすべて説明できるわけではない。一方で、セイバーメトリクスが選手のプレーの評価に新風を吹き込み、野球を見る視野を広げてくれたのも事実だ。このことを頭の片隅に置きながら、この先を読み進んでいただきたい。

 セイバーメトリクスで打者の評価に利用される代表的な指標が、創始者のジェイムズが考案した「OPS(オーピーエス)」である。

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