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エッセイ:裏紙と人

  • 津村 記久子

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2010年9月6日(月)

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 わたしのデスクの一番下の深いひきだしには、裏紙しか入っていない。ここでいう裏紙とは、片面に印刷があり、もう片面は真っ白、という状態の、使用済みコピー用紙のことである。裏紙は、勤続十年を費やしていっぱいになった。仕事内容は、報告書の製本である。五部ほどの小規模な製本なので、業者には出さず、わたしが製本係として働いている。

 報告書はコピー機で作るので、コピーミスや仕様の変更などで、手元には裏紙が集まってくる。ミスコピーを出すたびに反省し、コピー機の読み取り部分を頻繁に拭いて印刷物を汚さないようにしたり、コピーする部数を何度も確認したり、原稿の汚れを修正したりするのだが、それでも、急な変更や見落としなどで、裏紙は着々と発生する。

 裏紙のひきだしはとても重い。紙はとても重いものなのだ。わたしはときどきそれを、罪の重さのようにも感じる。会社員の仕事を続けたほうが良い、と感じていることの理由には、わたしがいなくなってしまったら、この裏紙たちはいったいどうなってしまうのか、という心配もある。いや普通にゴミ袋に入れて捨てられるか、フロアの隅に蓄積され、いくらかはメモ用紙などに使われたものの、時が来たらやはり捨てられるかだろうけれども。

 ボランティア団体などに送れるものなら送りたいのだが、なんといっても報告書の裏紙である。機密内容が印刷されているものはシュレッダーにかけることになっているのだが、とはいえやはり会社のものなので気がひける。暇を見つけては、あたりさわりのない内容のものと、そうでないものを仕分けして、あたりさわりのないものを主に蓄積するようにはしている。それでもやはり、社外に大量に送るとなると気が引けるものである。

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