みなさま、お久しぶりです。半年ほど休載していた「デジタルエンタメ天気予報」ですが、本日をもって復活いたしました。以前よりも、やや緩やかなペースで更新されていく予定です。今後とも、よろしくお願いします。
ここはデジタル・エンタテインメントビジネスの現状を解説し、その未来図を裏読みする連載コラムです。時折「何、言っているんだ?」と感じるような、やや暴走気味のネタも出てきますが、暖かい目で見守ってください。そういう場合は、半年〜1年くらい経ってから読み直していただくと、「ああ、このことを言っていたのか」と合点がいくような仕組みになっております。
さて。連載再開一発目となる今回は、現在のデジタル・エンタテインメントの状況を、ざっくりと解説いたしましょう。
一言で言いますと、2010年9月現在は、「オンラインが、本格的に儲かるようになった!」ことが、とてつもない地殻変動を呼び起こしている真っ最中にある、と考えてください。
ソーシャルゲームの爆発的な普及
え? ビジネスなんだから、儲かるのは当たり前でしょ?
ケータイで遊べるゲームのテレビコマーシャルが山のように流れ、ケータイのゲームを遊ぶ人を電車内で頻繁に見かけるようになった昨今、そう思っている人も多いでしょう。
でも、これはデジタル・エンタテインメントの歴史を知っている者にとっては、極めて革命的な出来事なんですよ。「インターネットのサービスは、無料が基本。有料にすると潮が引くように顧客が去ってしまい、だからビジネスとして儲けるのは難しい」というのが、ほんの数年前までの常識だったのです。いや、今でも苦戦している企業は、たくさんあります。
でも、2008年辺りから、風向きが変わりました。
ちょうどそれは、日本においてケータイでのインターネットへのアクセス数が、パソコンによるアクセス数を逆転した時期と重なります。ケータイを介するようになってから、多くの人が「ネットでも、便利なものなら、ちゃんとお金を払う」という、ごく当たり前の状況になってきた、と考えていいかもしれません。
だから、この時期を境に、ネット上で交流しながら遊ぶゲーム――いわゆるソーシャルゲームと呼ばれるゲームが隆盛になってきたのです。そしていま、ケータイやスマートフォン、あるいはパソコンのブラウザー上で遊べるようなゲームが、ゲームビジネスの主力商品のひとつに成長してきました。
その勢いは、既に家庭用ゲーム機を超えているんですね。
薄利多売、という新しい形
ソーシャルゲームの躍進は、デジタル・エンタテインメントのビジネスモデルを、大きく変えつつあります。
従来のゲームビジネスは、極論するならば「高価なものを少数に売る」というビジネスです。ゲーム機によって差はありますが、ゲームソフトの価格は、だいたい4000〜7000円くらい。書籍やDVDなどに比べると割高な商品ですよね。それを数万〜数十万人に買ってもらって利益を上げる、というビジネスだったわけですね。
しかしソーシャルゲームは違います。ユーザーが払う金額は低いし、ユーザー全体からすると一部しかお金を払いません。しかし、それでも利益が出ます。なぜなら、とにかくユーザー数がケタ違いだからですね。国内には数百万人のユーザーを持つソーシャルゲームは数多くありますし、世界レべルでは数千万人のユーザーを持つソーシャルゲームもある。
だから、こちらは「多くの人から、ちょっとずつお金をいただく」ことにより莫大な利益を上げる、いわば薄利多売ビジネスとして成功しているのだ、と考えればいい。
このような、従来は存在しなかった形のビジネスが、デジタル・エンタテインメントの世界で成立するようになり、一気に注目されるようになった、というのが2010年現在のゲームビジネスの天気図なのですね。
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