「どうする? 日本の医療」

外国人医師の受け入れを拡大すべき?

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2010年9月7日(火)

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 医師不足を解消する手段の1つとして、外国人医師の活用を訴える声が上がり始めたのは、5年ほど前からでしょうか。2006年に岩手医科大学が後述の「臨床修練制度」の下で中国人医師を招へいしたり、2007年に新潟県が外国人医師活用のための規制緩和を目的とした構造改革特区案を提出するなど、具体的な動きもいくつか見られました。ただ、行政の腰は重く、外国人医師の受け入れを巡っては、その後も大きな進展はないままです。

 ところが最近、その風向きが変わりつつあります。そこで今回は皆さんと、外国人医師の受け入れについて議論してみたいと思います。

制限されている外国人医師による診療

 現行、日本の医師免許を持たない外国人医師による日本国内での診療行為は、医療法により原則禁じられています。ただし、例外として、「臨床修練制度」や「医師免許互換制度」の下での診療は可能です。

 臨床修練制度は、臨床修練指導医の下での特定の専門知識や技能の習得を目的としたものであれば、厚生労働大臣の許可を条件に、診療が認められるものです。期間は2年までで、その後は帰国しなければなりません。また、この制度により日本の医師免許を得ることはできず、診療行為による対価を得ることもできません。

 厚労大臣の許可の基準は少々あいまいで、事実上、発展途上国の医師などが日本の医療を学ぶケースなどに限定されてきました。

臨床修練制度の概要

【趣旨】

外国の医師または歯科医師で、日本において診療を伴う研修を希望する者に対し、厚生労働大臣が、一定の制約の下に診療を伴う研修(処方せんの交付を除く)を行う許可を与える制度

【主な条件】

日本の医師免許を有していなくてもよい
医(歯)科大学において、5年以上の一貫した西洋医学を修業していること
外国において医師または歯科医師に相当する資格を取得した後3年以上診療した経験を有すること
臨床修練を行うのに支障のない程度に日本語または英語を理解し、使用する能力を有すること
臨床修練指定病院において、臨床修練指導医または臨床修練指導歯科医の実地の指導監督下においてのみ診療を伴う研修を実施可能
期間は2年間(その後は帰国)

 医師免許互換制度は、イギリス、フランス、シンガポールなどとの相互協定があり、定められた条件の下であれば、相手国の医師免許がなくても診療が可能です。ただ、この制度における許可枠は極めて少数で、しかも外国人の診療しか認めていないケースもあるなど、実際にはほとんど機能していないようです。

 外国人受け入れ拡大の議論が深まらなかった理由の1つは、日本医師会(日医)の反対です。日医は、新会長就任直後の今年4月の定例会見でも、明確に反対姿勢を示しています。

外国人医師受け入れに関する日本医師会の見解

 診察や治療は、人体に侵襲を及ぼす行為である。そのため、高度な医学的判断及び技術を担保する資格の保有者によるものでなければならない。外国人医師の資質がそのような要件を満たしているかどうかは、各国の医療における教育・技術レベルが保障されたものでなければならず、その判断基準として日本の医師免許の取得が求められている。
 諸外国でも同様の制約がある。医師不足対策のひとつであるならば、まず、医師不足そのものを解決すべきである。

(2010年4月14日定例記者会見「現政権の最近の医療政策について」より)

9月13日をもって投票の受付は締め切りました。ご協力ありがとうございました

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著者プロフィール

木村 憲洋(きむら・のりひろ)

木村 憲洋高崎健康福祉大学健康福祉学部医療福祉情報学科で講師、日本医科大学で非常勤講師を務める。1971年生まれ。武蔵工業大学工学部機械工学科卒。国立医療・病院管理研究所病院管理専攻科・研究科修了。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科博士課程、神尾記念病院などを経て現職。



このコラムについて

どうする? 日本の医療

医療崩壊が叫ばれる昨今。これまでの日本の医療政策は、主に、厚生労働省と日本医師会の間の駆け引きが軸になっており、医療を受ける国民は、蚊帳の外に置かれてきた。「日経メディカルオンライン」と「日経ビジネスオンライン」では、医療関係者と国民が日本の医療について議論して、知識を共有できる場を提供する。

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