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小沢さんにとっての選挙の意味を、コラムニストにとっての連載で考える

2010年9月17日(金)

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 最初に訂正とお詫びです。先週の当欄で「S/N比」について、「サウンド/ノイズ比」という説明をしましたがあれは間違いです。正解は、「シグナル/ノイズ比」の略でした。私の記憶違いです。40年近く、ずっと勘違いをしていました。わかっているつもりでも確認しないといけませんね。
 原稿を読んで「なるほど。サウンド/ノイズ比か、ひとつ利口になったな」なーんて思っていた人は、ひとつ愚かになっています。申し訳ありませんでした。

 さて、小沢さんが負けた。
 民主党代表選挙の話だ。
 菅さんが勝ったのではない。
 小沢さんが一方的に負けたのだと私は考えている。一人相撲での一人負け。決まり手はお手付き、だろうか。

 意外だった。
 勝つと思っていたからだ。
 というよりも、小沢さんは、負ける戦いをしない人だというふうに私は思っていて、だから、その小沢さんがあえて勝負に打って出た以上、当然勝つのであろうと思いきめていたのだ。
 結局、私もまた小沢マジックにひっかかっていたのかもしれない。

 敗北という結果を受けて、いささか茫然としている。
 落胆ではない。
 敗北感ともちょっと違う。
 安堵している部分もあるからだ。予想通りに小沢さんが勝ってしまわなくて良かった、と、心のうちの半分ぐらいではそう思っている。
 が、一面、寂しくもある。そう、自分ながら不思議なのだが、私は、小沢さんが負けて、感傷的な気持ちになっているのだ。
 おそらく私は小沢さんに関して、愛憎相半ばする、少しばかり厄介な思い入れを持っている。

 だから、小沢さんの敗北について、国益においての評価とは別次元の、エモーショナルな反応を示していて、その反応に自分ながら面食らっている次第だ。
 いずれにせよ、私をこういう気持ちにさせる政治家は、ほかにいない。

 一般の政治家に対しては、私の態度はもっとはっきりしている。期待するか、でなければ興味が無いのか、どちらかだ。評価も状況次第。是々非々。それだけの話だ。
 一方、政策や主張とは別に、どうしても好きになれない人たちというのがいる。正直な話をすれば、私にとって多くの政治家はこっちの分類に入る。単純に嫌いなタイプの凸型人格。テレビに顔が映ると、即座に消音ボタンを押したくなる。そういう対象だ。

 以前、当欄でも書いたことがあるが、小沢さんは、高校の先輩に当たる。そういう個人的な事情も、多少は関連しているのだと思うが、そんなこんなで、ごく若い頃から、私は小沢さんに注目していた。

 必ずしも支持していたわけではない。敵視していたのでもない。ともあれ、ふだん、政治には関心を持たない私が、30年間にわたって、一人の政治家をウォッチングしてきたのである。これはなかなか大変なことだ。

 実際、小沢さんは、田中角栄の一の子分と言われていた時代から、注目に値する政治家だった。
 竹下派の中にいた時も、新生党を旗揚げした時も、細川内閣の背後にいた時も、この30年間、いかなる場面でも小沢一郎の存在感は際立っていた。

 小沢さんは、「絶対に負けない」と思わせるオーラを身にまとっている政治家だった。デビュー以来ずっとそうだ。どの政党のどの派閥に居た時も。倒れた時や、実際に負けた時でさえ。
 だから、小沢さんのもとには人が集まり、票と権益とカネが集中し、議員と候補者と政策通と官僚が集うことになった。そうやって彼のまわりにはひとつの雲(←クラウド?)のごときものができあがり、その雲の上から、彼は魔法のような影響力を行使することができた――と、少なくとも、彼を信奉する人たちはそう思っていた。

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「小沢さんにとっての選挙の意味を、コラムニストにとっての連載で考える」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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