「どうする? 日本の医療」

【最終回】外国人医師の受け入れ拡大に医師は「No」、患者は「Yes」

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2010年9月28日(火)

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 前回の記事「外国人医師の受け入れを拡大すべき?」に対する、たくさんの投票とコメントありがとうございました。

 今回のテーマについては、日経メディカルオンライン(NMO)と日経ビジネスオンライン(NBO)の投票結果に大きな差が出ました。「外国人医師の受け入れを拡大すべき?」との問いかけに対して、NMO(医師)では「Yes」が37%で「No」が63%。約3分の2の回答が「No」です。一方、NBO(患者)では、72%が「Yes」との回答でした。

 現行、日本の医師免許を持たない外国人医師による日本国内での診療行為は、医療法により原則禁じられています。例外として、「臨床修練制度」(臨床修練指導医の下での特定の専門知識や技能の習得を目的としたものであれば、厚生労働大臣の許可を条件に、診療が認められる)の下での診療は可能ですが、在留期間は2年までで、その後は帰国しなければなりません。また、この制度により日本の医師免許を得ることはできません。そのためなのか、現状、この制度により日本で診療業務に従事する外国人医師はごく少数です。

 一方、外国人医師の受け入れ拡大が議論される際、その目的として挙げられるのは、(1)先端医療研究への貢献(2)メディカルツーリズム促進のための環境整備(3)医師不足対策――の3点です。以前は(3)の医師不足対策から論じられることが多かったのですが、最近は、主として(1)(2)が焦点になっています。実際、菅直人内閣が今年6月にまとめた「新成長戦略」の中には、外国人医師・看護師による国内診療などの規制緩和の実施が盛り込まれており、その目的は、先端医療研究への貢献やメディカルツーリズム促進とされています。

「外国人医師はやって来ない」

 今回、医師と患者で結果は大きく分かれましたが、医師の6割が反対した理由の一つは、受け入れ拡大に意義を見出せないと考えたからではないでしょうか。簡単に言えば、多くの医師は「受け入れを拡大したとしても日本で働きたいと思う外国人医師はほとんどおらず、意味がない」と受け止めており、それが投票結果に反映されたのだと推測されます。

 医師が「外国人医師はほとんど来ない」と見ている理由は、過酷な割に薄給とされる日本の労働環境にあります。そんな日本に、言葉の壁を乗り越えてやって来る医師は、いてもごく少数との見方です。

 実際、「Yes」に投票した方の中にも、「私が外国人なら間違いなく、障壁が低く、給与が良く、自分の時間もある他の国に行くと思います」「日本で働きたい外国人医師はほとんどいないでしょう。あえて日本を選ぶメリットがありません」といった意見が複数見られたほどです。そうした背景からでしょうか、「一度受け入れを拡大してみて、来日した外国人医師の反応を日本社会に知らしめるべきだと思います」といった、少々自虐的な意見も寄せられました。

 このほかでは、「医師は、どこの国でもまずその国民の必要のために養成されるべき。相手国の社会的資源を奪う形になるのはよくない」とのコメントが印象に残りました。

大きなメリットもデメリットもなし?

 一方、患者側のコメントを見ても、受け入れ拡大により多くの外国人医師が日本で働くようになると考えている向きは、決して多くはないようです。にもかかわらず「Yes」が多数に上ったのは、患者の立場からすると、受け入れ拡大による目立ったデメリットが感じられないからかもしれません。

 外国人医師に診察を受ける場合、患者にとって大きな問題になると思われるのは、コミュニケーションと医師の質の2点だと考えられます。

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著者プロフィール

木村 憲洋(きむら・のりひろ)

木村 憲洋高崎健康福祉大学健康福祉学部医療福祉情報学科で講師、日本医科大学で非常勤講師を務める。1971年生まれ。武蔵工業大学工学部機械工学科卒。国立医療・病院管理研究所病院管理専攻科・研究科修了。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科博士課程、神尾記念病院などを経て現職。



このコラムについて

どうする? 日本の医療

医療崩壊が叫ばれる昨今。これまでの日本の医療政策は、主に、厚生労働省と日本医師会の間の駆け引きが軸になっており、医療を受ける国民は、蚊帳の外に置かれてきた。「日経メディカルオンライン」と「日経ビジネスオンライン」では、医療関係者と国民が日本の医療について議論して、知識を共有できる場を提供する。

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