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10年前の新卒

  • 津村 記久子

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2010年10月4日(月)

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 2010年もあっという間に後半である。この季節、大学3年のみなさんは、そろそろ就職活動に関する大学側の説明会に呼び出されている頃ではないだろうか。わたしは、1999年の時点で大学4年生だったので、就職活動をしたのはもう10年以上前のことになる。

 やり直せるものならやり直したい、と思う。学生だった頃の仕事選びと、仕事を経験した後の仕事選びでは、それこそ天と地ほどのギャップがあるからだ。今の考え方でもって、新卒の就職活動に臨んだとしたら、まだもう少しましだったかもしれないと常々思っている。

* * *

 就職活動を経て最初の会社に入社し、そして退職し、その後今の会社に落ち着いた後も、就職活動の時に集めた資料などはなかなか捨てられなかった。3年生の後半の時点で家に送られてきた、リクルートの5巻か6巻セットの、業界ごとの会社案内もかなり長い間本棚に挟まっていた。

 特に読み込んで自分の見識に役立てるわけではないのだが、とにかくその背表紙を見るとうっと息が詰まる。そして、自分が今職を得ていることに感謝する。そのうっとなる感じを忘れないために、かなり長い間持っていた。

* * *

 それもいいかげん場所をとるので捨ててしまい、資料も処分して、わたしの手元には、大学から配布された就職活動用のA5のルーズリーフだけが残った。

 これだけはどうしても捨てられなかった。しかし開くこともないので、なかったことにするわけにはいかないのだけれども、おいそれと開帳して眺めたい過去でもないのだろう。

* * *

 1998年、3年生の秋に、初めて大学主催の就職説明会があり、実はあなたたちはすっごいすっごい厳しい状況にいます、と告げられた。

 それまで、「バブルがはじけた」だとか「不況」いう言葉はところどころで耳にしていたものの、それと自分の就職がどう関係しているのか、うまく頭の中でつなげることができなかったのだった。地方の私立大学生なんてそんなもんなのかもしれないし、わたしが特段ばかだったのかもしれない。

* * *

 就職活動ノートの最初には、第一印象を良くするこつが記されている。第一印象は6秒で決まり、そのうちの58%は目から見えるもので、内面を伺い知れる要素はわずか7%らしい。じゃああとの35%は何なんだということは書かれていない。

 その他、コートは「着ていていいよ」と指示された場合以外は着ていてはだめ、だとか、資料は両手で受け取れだとか、名刺は胸の前ぐらいで受け渡しをしろだとか、目を合わせてしゃべれだとか、完全に基本やろということが記載されている。

 大学生の時点では、こんなこともわかっていないのかということが逆に驚きである。

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コメント2件コメント/レビュー

教えたいことやカッコいいことではなく自分自身がうんざりするような現実から来るどうしようもない本音を聞かせてくれるオトナって、案外いないものです。「コドモには分からんやろ」と下に見るせいでしょうね。コドモだってきちんと話せば現実を理解できるのですが。7歳になる息子にはオトナは楽しいぞ、やらなアカンことがいっぱいあって大変やけど(←この辺が本音)、コドモで何にもできないよりずっと楽しいぞ、と、吹き込んでいます。早すぎるなんてことはないと思います。まだ親の苦労を見抜けない息子はままは楽しそうやなあ、人生春やろ、ボクは人生冬やとすねております。コドモですねえ。(朱夏真っ盛り)(2010/10/04)

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教えたいことやカッコいいことではなく自分自身がうんざりするような現実から来るどうしようもない本音を聞かせてくれるオトナって、案外いないものです。「コドモには分からんやろ」と下に見るせいでしょうね。コドモだってきちんと話せば現実を理解できるのですが。7歳になる息子にはオトナは楽しいぞ、やらなアカンことがいっぱいあって大変やけど(←この辺が本音)、コドモで何にもできないよりずっと楽しいぞ、と、吹き込んでいます。早すぎるなんてことはないと思います。まだ親の苦労を見抜けない息子はままは楽しそうやなあ、人生春やろ、ボクは人生冬やとすねております。コドモですねえ。(朱夏真っ盛り)(2010/10/04)

すばらしいです。こういうほんとのことをきちんと伝えるのが大人の役割なんですよね。当たり前のことも当たり前だから当然知っているものと思って伝えないでいると次世代では当たり前のことではなくなる。そのため、しなくていい失敗を繰り返す。過保護だろうが、大人は次世代に知恵を伝えていかないといけませんね。それをまるまる受け入れなくても、頭の隅にあれば現実の壁にぶち当たった時、ヒントになるでしょうから。(2010/10/04)

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