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介護現場に排泄革命を!『誰も語りたがらないウンチとオシッコの話』
~1台も売れない介護商品の開発物語

  • 大塚 常好

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2010年10月4日(月)

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誰も語りたがらないウンチとオシッコの話』勝屋なつみ著、シービーアール、1470円

 人はみな、オムツに始まり、オムツに終わる。生や死は、ウンチ・オシッコとともにある。本書を読み終えた直後、トイレで用をたしながらそう思った。

 先月、出産直後の知人の女性がブログにオムツ洗いの雑感を書いていた。

「今日気づいた…。このうんちのしみたちったら、なんてファンタスティック。白地に、日々変わる模様。ひとつとして、同じものはない。(中略)そう、生きることが、アート」

 布オムツの黄色い物体は、まるでオブジェ。ウンチ君は、生の象徴だったんだ。手洗い仕事中に、ふと生きることの神髄に触れ、若い母親は幸福感に包まれた。

 しかし、それは寝たきりの親や高齢者のそれとは似て非なる、我が子のかわいいウンチ君だからに違いない。

本邦初のハイテク介護ベッド誕生

 本書は、ファンタスティックでも、アートでもない、純然たる排泄物としてのウンチ君やオシッコ君を巡る「ある商品」の開発物語である。それも開発期間が22年という労作。その商品とは、トイレ付き介護マットレス「多機能マットレス アリス 凛」である。

 こうして紹介すると、この酷暑の夏、ようやく長年の苦労が報われ売れに売れている、というサクセスストーリーがお約束だが、そうではない。

 1台も売れていない。

 断っておくが、欠陥商品ではない。1台約20万円という価格がネックなわけでもない。介護の商品にはもっと高額なものはいくらでもある。

 売れない原因を探る前に、現在にいたるまでの経緯を簡単に紹介しよう。

 元女性誌編集長の著者が追いかけた、このトイレ付き介護マットレスの開発者は、東京・四谷で開業する72歳の女性歯科医である。父も夫も息子も医者だという。

 開発の始まりは、20年以上前である。1980年代後半のバブル時代。この歯科医は、本業のかたわら、ひたすら計測していた。

 例えば、いちごの透明パックでウンチやオシッコ1回分を量った。オシッコの描く放物線の方向や角度も調べ、尿道口と肛門との間の寸法もチェックした。

 「トイレ付き」にするため、解剖学の本にも載っていない詳細なデータを蓄積した。そして、1995年。初めて完成させたのが本邦初の「ハイテク介護ベッド」である。これが今、1台も売れていないトイレ付き介護マットレスの出発点になった。

 このハイテクベッド1号機は、スイッチを押すとベッド下に格納されていたトイレがベッド中央部から現れる仕組み。寝たきりの人や高齢者たちは、そこにいながらにして排泄できる。

 排泄物が飛び散らないような金隠しもあれば、洗浄用の温水シャワーや汚物タンクに吸引する真空ポンプのバキュームも付いている。

 来る高齢化社会にふさわしい商品だ、とマスコミも大絶賛。価格は当時、1台120万円だったが、札束を持った客が全国から殺到したそうだ。

 エンジニア・スピリットあふれる歯科医は、より使いやすくするため微調整を繰り返し、新機種を次々に出していく。しかし、順風満帆とはいかない。

コメント4件コメント/レビュー

母が介護施設に入っています。車椅子の乗り降りに介助が必要ですが、トイレに連れていくと自分で排泄できます。ところが介護スタッフの人数が足りないようで、コールしても紙おむつをしてるんだからそこでしなさいと言ってなかなかトイレに連れて行ってもらえません。毎日夕食が終わる頃に施設に行って母をトイレに連れていくのを日課にしていますが、紙おむつに慣れてきたせいか、だんだん出し方がわからなくなってきているようで、長い時間トイレに座っていても全く出てこないのに、ベッドに戻ったとたんにトイレに行きたいと言い出すことが多くなってきました。これを繰り返すので、ますますそこでしなさいと言われるようになっているようです。穴あきベッドが万能とは思いませんが、紙おむつに頼りすぎると認知症を進めるのは事実のようです。介護はウンチやオシッコとの戦いです。このベッドのような商品がますます改良されて世に広まっていってほしいと思います。(2010/10/04)

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母が介護施設に入っています。車椅子の乗り降りに介助が必要ですが、トイレに連れていくと自分で排泄できます。ところが介護スタッフの人数が足りないようで、コールしても紙おむつをしてるんだからそこでしなさいと言ってなかなかトイレに連れて行ってもらえません。毎日夕食が終わる頃に施設に行って母をトイレに連れていくのを日課にしていますが、紙おむつに慣れてきたせいか、だんだん出し方がわからなくなってきているようで、長い時間トイレに座っていても全く出てこないのに、ベッドに戻ったとたんにトイレに行きたいと言い出すことが多くなってきました。これを繰り返すので、ますますそこでしなさいと言われるようになっているようです。穴あきベッドが万能とは思いませんが、紙おむつに頼りすぎると認知症を進めるのは事実のようです。介護はウンチやオシッコとの戦いです。このベッドのような商品がますます改良されて世に広まっていってほしいと思います。(2010/10/04)

朝からすごい話題!と思いながら読みました。なるほど、なるほどと感心しながら読みました。まだ一度も介護を経験していないので想像でしかわかりません。けれど人間の尊厳の問題です。女医氏の粘り強さに感動!しました。紙おむつ!現場の様子を読んで、改めて「生ききる」ことのすごさを思った次第です。(2010/10/04)

自力で排泄は結構ですが、尿意便意を感じたら服は誰が脱がすのですか?リウマチで身体を動かすと痛い人は下着を脱ぐために動くのも痛いのではないですか?ベッドでは下半身裸なのですか?実際の商品写真がないのでなんとも判断がつかないのですが、これまでの例ではこういう穴あきタイプは使えません。定期的にこのような製品は出てきますが、尿意便意があり、手を動かす能力があるなら安楽尿器・安楽便器で十分です。(2010/10/04)

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三品 和広 神戸大学教授