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日本の自動車産業が危機に直面する理由

電気自動車到来の意味を見誤ってはならない

2010年10月8日(金)

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(妹尾堅一郎著、ダイヤモンド社、2400円+税)

 「技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか ~画期的な新製品が惨敗する理由~」(ダイヤモンド社)が売れている。昨年7月30日に発行されてからこのほど8刷が出た。

 「失われた10年」どころか「失われた20年」を経て、今なお経済力回復への道筋が見えない日本――。2008年秋の金融危機以降、中国をはじめとする新興国の台頭が顕著になる中、多くの日本人が今、日本はこのまま再浮上できないのではないか、との不安を感じている。

 こうした中でこの本が読まれているのは、半導体、液晶パネル、DVDプレーヤー、カーナビなど、かつて世界市場で圧倒的シェアを抑えていた日本勢が、なぜ徹底的にシェアを失ったのかを明快に説明しているからだ。技術力=競争力だった時代から、最高の技術力を誇っても、ビジネスモデルの構築力、事業戦略の構築力で優位性を発揮できなければ、海外勢への部材提供者で終わってしまう時代が到来した。「日本企業は、世界の競争力モデル自体が大きく変わったことを認識すべきだ」と著者の妹尾堅一郎氏は話す。

著者の妹尾堅一郎氏(写真:都築雅人 以下同)

 そして、本著でも述べているが、同じ危機が今、日本の自動車産業に忍び寄っていると指摘する。「日本の自動車産業は、15年で壊滅状態に陥る可能性がある」とさえ言うのだ。

 かねて、ガソリンエンジン車から、ハイブリッド車や電気自動車など、電気を利用して走る「クルマの電動化」が進むと、自動車産業のビジネス構造は根本的に変わるのではないかとの指摘されてきた。

 2万~3万点の機械部品と電子部品からなるガソリン車は、部品同士の綿密な相互調整を必要とするいわゆる「摺り合わせ」技術の結晶と言われ、日本企業の十八番とする分野だった。しかし、「電気自動車になれば、摺り合わせなど必要なくなる。高度ではあるけれど、クルマは単純で独立性が高い部品を標準的な調整だけで簡単に組み合わせて作ることが可能な製品になり、その結果、業界では確実に水平分業が起きる」と妹尾氏は見る。

 電気自動車の普及に伴い、電池やモーターなど基幹部品を専業メーカーが提供する水平分業が起きれば、完成車メーカーをトップに多数の部品メーカーを抱える現在の垂直型のピラミッド構造は崩れることになる――それだけに、日本の自動車産業は今、抜本的に事業モデルを革新しなければ、競争力を維持するのは難しくなるとの見方である。

インドではクルマ、バイクより携帯電話が先

 ただ、電気自動車に移行した場合、「摺り合わせ」は本当に必要でなくなるのか――。

 この点については自動車業界関係者の間でも見解が分かれている。加えて、そもそも「電気自動車時代の到来」そのものを疑問視する向きも少なくない。現在のリチウムイオン電池では1回の充電で実現できる航続距離は百数十kmに限られる。そのため、ガソリンタンクを1度満タンにすれば500km走れる内燃機関のクルマを代替するのは容易ではないはず、との見方だ。

 しかし、妹尾氏は「代替という視点だけで今の自動車産業をとらえると、今後を読み誤る」と警鐘を鳴らす。自動車産業における現在の成長の牽引車である新興国市場のニーズを見誤ってはならない、というのである。例えば、インドを見てみよう。

コメント6件コメント/レビュー

まずはリヤカーの電動化ですか、発展途上国が求めているのは。って揶揄しているのではなく、それは日本が過去にたどってきた道に近いからです。動力付き大八車といった感じですが、妙にプライドの高くなった日本の自動車メーカーがこういう軽量級のものづくりができるかどうか、期待半分見物半分です。そういう軽量級と並行して日本の自動車メーカーが築いておくべき基礎技術として、制御技術の確立があります。日本得意の摺り合せ技術は動力から制御に活躍の場を移すべきです。本格的で速度の出る車両は人の命を預かる機械でもあります。そこにパソコンの如き寄せ集めで安全性を検証できないものはあってはいけません。自動車は時速30Kmでぶつかれば死人が出ます。時速50Kmなら100%死亡です。安全性が検証できないというのは制御できるか判らないという事であり、走行中に暴走する可能性が常にあるということで、命の危険です。トヨタのリコール騒ぎで米国があれだけ問題視したのはまさに命に関る事だったからです。パソコンみたいにいきなりブルースクリーンになって操作不能になったり、ウイルス感染して制御を奪われるなんて事は自動車では許されないって事です。安全第一なのです。安全第一といえば工場ですが、ここで使われる設備は色んな会社から機材を寄せ集めて作られていますが、制御は検証を含めた摺り合せ技術の結晶です。人体をあっさり破壊してしまえる強力な機械群ですから、制御できなければ危なくて使えないわけです。電動リヤカー程度なら安全性よりコストが優先なので、寄せ集めで安くなればそれでいいわけですが。(2010/10/11)

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「日本の自動車産業が危機に直面する理由」の著者

石黒 千賀子

石黒 千賀子(いしぐろ・ちかこ)

日経ビジネス編集委員

日経BPに入社後、英LSEに留学し修士取得。日経ビジネス、日経ナショナルジオグラフィック、日経ベンチャーを経て、2003年日経ビジネスに編集委員として戻る。主に、本誌の「世界鳥瞰」の欄を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

まずはリヤカーの電動化ですか、発展途上国が求めているのは。って揶揄しているのではなく、それは日本が過去にたどってきた道に近いからです。動力付き大八車といった感じですが、妙にプライドの高くなった日本の自動車メーカーがこういう軽量級のものづくりができるかどうか、期待半分見物半分です。そういう軽量級と並行して日本の自動車メーカーが築いておくべき基礎技術として、制御技術の確立があります。日本得意の摺り合せ技術は動力から制御に活躍の場を移すべきです。本格的で速度の出る車両は人の命を預かる機械でもあります。そこにパソコンの如き寄せ集めで安全性を検証できないものはあってはいけません。自動車は時速30Kmでぶつかれば死人が出ます。時速50Kmなら100%死亡です。安全性が検証できないというのは制御できるか判らないという事であり、走行中に暴走する可能性が常にあるということで、命の危険です。トヨタのリコール騒ぎで米国があれだけ問題視したのはまさに命に関る事だったからです。パソコンみたいにいきなりブルースクリーンになって操作不能になったり、ウイルス感染して制御を奪われるなんて事は自動車では許されないって事です。安全第一なのです。安全第一といえば工場ですが、ここで使われる設備は色んな会社から機材を寄せ集めて作られていますが、制御は検証を含めた摺り合せ技術の結晶です。人体をあっさり破壊してしまえる強力な機械群ですから、制御できなければ危なくて使えないわけです。電動リヤカー程度なら安全性よりコストが優先なので、寄せ集めで安くなればそれでいいわけですが。(2010/10/11)

電気自動車といえどもPCや家電と同列に考えるのはやはり違和感を覚える。人命を預かる耐久消費財である以上メンテナンスは欠かせず、それなりの品質保証体制とサービス網構築が必要であろう。また品質向上のため部品メーカとのデザイン・インや絶えざる「刷り合せ」作業が不可欠と考える。それを自作パソコンみたいに部品を集めればクルマが出来てしまうがごとき発想は安易過ぎるし、新興国では事情が違うといっても、逆に人命に拘わるクルマをそんなに簡単に考えてよいのか、逆に新興国の人間の命はそんなに安いのですか?と言いたくもなる。もちろん電気自動車という新しい流れの中で新興国の中からホンダのようなメーカは現れるだろうし淘汰される古参メーカもあるだろうが、業界の形としてはPC・家電のような水平分業は起こらず、従来的な垂直分業が維持されるだろうと考える。(2010/10/09)

なぜ自動車が必要なのか?を考えればインドの状況が理解出来るはず。インドだからではなく、人間の根底がそうだから。以前は、会いに行かなければコミニュケーションが取れない。だからでかける、出かけるためには足が要る。だから車は要る。今は、ケータイがあればコミニュケーションが取れる。好きなときに好きな場所から。だから会いに行かない。車は要らない。今日の社会では若者世代に車は必需品ではなくなっている。さらに輪をかけて子供、若者が減っている。至極当たり前かつ、単純な論理構成でしかないことをそれらしく解説されても、またそれをあたかも斬新な評論であるかの様に記事として取り上げられてもねぇ。(2010/10/09)

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