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94. 職場の不条理? それとも不幸? その2

横光利一『機械』

  • 千野 帽子

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2010年10月13日(水)

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 日直のチノボーシカです。

 先週に引き続き職場の、悲劇ではなく不幸、について書く。

武蔵野夫人』大岡昇平 著、新潮文庫、420円(税込)
新しい文学のために』大江健三郎 著、岩波新書、756円(税込)

 大岡昇平の『武蔵野夫人』(1950)に〈事故によらなければ悲劇が起らない。それが二十世紀である〉というフレーズがあるらしい。らしい、というのは、大江健三郎の『新しい文学のために』(1988)にそれが引かれていたからで、そんなのあったか、俺すっかり忘れきってるな、と思って『武蔵野夫人』を久しぶりにひっくり返したのだが、時間切れで再確認できぬまま〆切がやってきてしまいました。

 しかし強制収容所や核兵器といったものはともかくとして、個人レヴェルのできごとで悲劇と呼びうるものが、20世紀以降の小説で説得的に書かれること自体、稀なのだと思う。

 ケータイ小説が話題になったとき、多くの読書家がそれをバカにしたのは、ケータイ小説が、作中の出来事(客観的に見れば不幸であるもの)を悲劇として提示したからかもしれない。その大真面目さをバカっぽいと感じた読者が、一定数いたということだ。

 じつはケータイ小説にはケータイ小説の肯定的な意義があったのだが、ここはそれを深追する場ではない。とにかく悲劇より不幸のほうに説得力を感じてしまう私のような人も、案外多いのだな、と思わされた出来事ではあった。

 で、今週も職場の不幸のお話です。

*   *   *

日輪 春は馬車に乗って 他八篇』横光利一 著、岩波文庫、693円(税込)

 今回取り上げるのは、横光利一の短篇小説『機械』(1930)だ。文庫では『愛の挨拶 馬車 純粋小説論』(講談社文芸文庫)、『機械・春は馬車に乗って』(新潮文庫)、『日輪 春は馬車に乗って 他八篇』(岩波文庫)などがあるが、ここには岩波をお勧めしたい。作品のセレクトがいちばんとっつきやすいのだ。

 『機械』の語り手〈私〉は、ひょんなことから小さなネームプレート製作所の住みこみ作業員として働くことになる。製作所といっても家族経営というか個人商店クラスのものだ。

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