「「ただトモ」化するニッポン」

イクメン部下に悩むアラフォー上司の苦悩

「昇進よりオムツ替え」の社員と向き合う3つの知恵

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2010年10月15日(金)

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 「なんで私が“イクメン(部下)”のしわ寄せで、いつも残業しなきゃいけないんでしょう?!」

 先週お会いした食品メーカーのアラフォー課長・エツコさん(41歳)は、突然声を荒らげた。
 40代の中間管理職といえば、上と下の板ばさみに悩む時期。上司への報告に加え、部下の指導、そしてみずからの業務と、ただでさえ目が回るほど忙しい。

 「それなのに」と、エツコさんは頭を抱える。
 最近、“イクメン”志向が強い20〜30代の男性(部下)が、「娘のオムツ替えなきゃ、なんで」「スーパーが閉まっちゃうんで」などの理由から、堂々と残業を断るとか。拙著『ただトモ夫婦のリアル』の取材でも、似た声をたくさん聞いた。

 エツコさんは言う。「私が若いころは、仕事に全力投球で、結婚や出産どころじゃなかったのに」……。なぜそんな上司を置き去りに、とっとと帰れるのか分からない、と。

なぜ忙しい上司を置いてとっとと帰れるのか?

 私も同じアラフォー、結婚はしたが出産しそびれた、いわゆる「負け犬」の一人。もしいまも会社勤めで、部下の男性に「オムツ替えなきゃ、なんで」と先に帰られたら、やはりカチンとくるに違いない。エツコさんの気持ちは、よく分かる。

 だが一方で、「女子はなぜ、「龍馬」と結婚したくないのか?」でもご紹介したとおり、いまや「夫婦共働き」が当たり前の時代。
 20〜30代の妻は、夫に「家事・育児を手伝ってよね」と期待するし、夫のヘルプがないと立ち行かないほど、追い詰められていたりもする。夫とて、それを無視はできないはずだ。

 また、バブル崩壊後は、年功序列・終身雇用の概念も崩壊した。
 どんなに会社に尽くしても、一生守ってもらえる保障はない。いつリストラや減給処分に遭うか、場合によっては会社が潰れるかもしれない。
 だからこそ、夫たちは「見栄(昇進)よりイエ(家庭)」に回帰するのだろう。

 ただ分からないのは、忙しくてヒイヒイ言っている上司を目の当たりにしながら、堂々と会社を後にできるイクメン部下の心理。
 上司の覚えが悪くなれば、その後の昇進や昇給に響く、とは考えないのか?

「“長”に憧れるどころか『カッコ悪い』とさえ思う」

 「イマドキの社員は、非常に合理的。“長”がつく立場になれば、仕事や責任だけが増えて、残業代がつかなくなることも多い。つまり、コストパフォーマンスが下がる。だからソンだ、“長”になんてなりたくない、とさえ言うんです」
 と話すのは、人事コンサルティングファーム、フェイスホールディングスの代表で、経営コンサルタントの小倉広さん。

 確かに2年前、私が20代の「草食系男子」に取材した時もそうだった。

 「課長職? 別に興味ない。忙しい割に、給料も大して上がらないんでしょ?」
 「海外転勤? 行きたくないですね。だいたい海外行けば出世できる、って保障あるんスか?」
 その後、自動車メーカーや家電メーカーに取材した際も、「最近、20代が海外(赴任先)に行きたがらない」「昇進を断る」といった事例を、いくつも聞いた。

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著者プロフィール

牛窪 恵(うしくぼ・めぐみ)

牛窪 恵マーケティングライター。インフィニティ代表取締役。財務省財政制度等審議会専門委員。1968年東京生まれ。日大芸術学部映画学科(脚本)卒業後、大手出版社に入社して編集、PR担当後、転職し、2001年に起業。トレンド、マーケティング、小売流通、ホテル、旅行関連などをテーマに執筆、講演を行う。
「日経消費ウォッチャー」「プレジデント」「週刊ダイヤモンド」などに寄稿。主な著書に『男が知らない「おひとりさま」マーケット』、『独身王子に聞け!』、『ただトモ夫婦のリアル』(いずれも日本経済新聞出版社)、『草食系男子「お嬢マン」が日本を変える』(講談社)、『新女性マーケットHahako(ハハコ・母娘)世代をねらえ!』(ダイヤモンド社)、『独身女性200人に聞く モテるおカネのつかい方』(アスペクト)など。公式ブログ「牛窪恵の気分はバブリ〜♪」やツイッターも好評。



このコラムについて

「ただトモ」化するニッポン

 リビングルームを「ここからこっちが私」「こっちはあなた」と、はっきり分ける夫婦。両開きの冷蔵庫を、ドアポケットの片側ずつ“妻ワールド”と“夫領域”に分ける夫婦。「夫婦の会話はツイッター」、そして、妻も夫も都内にいるのに、1年以上も“別居婚”や“週末婚”を続ける夫婦が、何組も――。
 旧来の夫婦像の常識から見たらとても夫婦とは思えない20代〜30代の若者たち。気が向けば連絡しよう、時々なら一緒に住んでもいいけど、といった、そこそこ仲のいい仲間のよう。まるでただの友達、「ただトモ夫婦」。こんな夫婦が当たり前になりつつあるといいます。
 多くのインタビューや取材で筆者が出会った「ただトモ夫婦」の実像に迫り、その社会的背景に迫ります。

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