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ボスは、いかにして「ワンマン」になるのか

2010年10月15日(金)

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 チリの炭鉱労働者救出作戦は、なかなかどうして味わい深い見世物だった。

 全世界同時生中継。21世紀のサブタレニアン・ホームシック・ブルース。地下生活者の酒気帯び運転。W杯優勝級の国威大宣伝。名誉の落盤。禍転じて福利厚生。地球規模の腸閉塞、その手術と治癒過程。S字結腸の英雄。栄光のバイパスシャトル。素晴らしいライブだった。

 一方、感動の帰還の影では、円相場が沸騰し、ベイスターズが店晒しにされ、北朝鮮の後継者が外交デビューし、アンダー19男子サッカー日本代表が韓国に敗れていた。
 どのニュースが最重要であるのか、意見は分かれるだろう。

 ディレクターの判断はチリネタの一択だ。
 理由は、絵になるから。
 それに、このニュースは視聴者の感情に訴える要素を万事遺漏なく備えている。報道サイエンスバラエティードキュメンタリーサスペンススポーツドラマとしての救出ライブ中継。完璧だ。

 当欄はキム・ジョンウン氏に注目する。
 描きやすいからだ。
 それに、ジョンウン氏をめぐるエピソードは、応用がきく。
 いつでもそうだ。あの国のお話は常に寓話じみている。寓話立国。むかしむかしあるところに式の、本当は怖い大人のおとぎばなし。素晴らしくイマジネーションを刺激してくれる。地下700メートルで暮らした男たちの物語と同じぐらいに。

 今朝配信の記事が伝えるところによれば、朝鮮労働党創建65周年の関連行事に出席するため訪朝していた中国共産党代表団は、キム・ジョンウン氏に贈り物を手渡している。
 つまり、ジョンウン氏は国際社会に認められたのだ。
 もっともこの場合の「国際社会」は、いまのところ中朝二国間に限られている。が、彼らにとっては中朝すなわち全世界だ。残余は蛇足。落盤炭鉱夫の地下生活と一緒。外界は幻覚に過ぎない。

 とにかく、これで三代続けての世襲が確定したことになる。
 異様といえば異様だが、見方を変えれば、現実的だというふうに評価することも不可能ではない。
 なぜなら、北朝鮮は、曲がりなりにも「次」に備えて手を打っているからだ。
 あの国の人たちは、ああ見えてきちんと未来のことを考えているのだ。むろん、あくまでも、彼らなりに、ではあるが。

 ひるがえってわが国を眺めれば、ここには、未来を見ることを拒否している人々が意外なほどたくさんいる。
 具体的に申し上げると、北朝鮮に負けず劣らずのワンマン体制が敷かれているにもかかわらず、「次」を想定していない組織が少なくないのだ。しかも、トップの人間は金正日氏よりはるかに年齢が上だったりする。大丈夫なのか? ボスに万一のことがあったら、全員が殉死か? それがワンマンの潜在的な願望だというのはあり得る話なのだとして、どうして部下たちは手をこまねいているんだ? 破局を待っているのか? 思考停止して。

コメント19

「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「ボスは、いかにして「ワンマン」になるのか」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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