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この本にピン!と来たら不幸になる?~本当はおそろしいヘッセの『車輪の下』

語り合おう、恥ずかしくも懐かしい「青春の5冊」その1

  • 岡 康道,小田嶋 隆,清野 由美

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2010年10月25日(月)

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 前回の番外編では、プロ野球解説者の高木豊さんが読書に目覚めた、というフレッシュなエピソードが最後にありました。季節はまさしく読書の秋たけなわ。岡さん×小田嶋さんの本編に戻った「人生の諸問題」でも、この時期にふさわしい話題をしばらくお届けします。

 おっと、秋の夜長、ベッドサイドのお供には本連載をまとめた『ガラパゴスでいいじゃない』『人生2割でちょうどいい』をお忘れなく。

―― お2人は、坂本龍一さんが始めた「スコラ」というCDブックのシリーズはご存知ですか。

 何?

―― 音楽コンテンツが超多様化して、聴き手が混乱している今の時代に、ひとつの基準を提供する、というコンセプトのもとに、サカモト教授が、自身の音楽的な経験と教養にもとづいて編集されている全集です。バロック音楽から、ジャズ、ドビュッシー、ラヴェルといったラインナップが、浅田彰との対談などと一緒に編集されています。

 すげえ。

小田嶋 あの人はいつも、こういうカッコいいことをやって・・・。

―― その第1弾がバッハのCDブックで、これは八千いくらもして、価格もすごく上流なのですが、内容はさすがです。まあ、この連載をどうまとめても、ここまでにはとてもならないとは思うのですが。

 ハナから諦めているじゃないか。

―― 目標は高い方がいいと思いまして。

小田嶋 では、読書界における坂本龍一的な位置を目指すということですね。

クリエイティブディレクター 岡 康道氏(写真:大槻純一、以下同)

 書評ということで言えば、すでにアツシの連載という圧倒的すぎる文章があって、もう僕たちは本についてしゃべってはいけないんじゃないか、という感じもある。(注・アツシの連載=岡敦による「生きるための古典」。岡敦さんは岡さんの実弟で、小田嶋さんとも若い時代をともに過ごされています)

小田嶋 やっぱりああいう文を書かれちゃうとね。アツシは、どうしようもない人のための何とかいうコンセプトで書いているでしょう。(注・正しくは「生きるための古典」です)。ヘーゲルやらヴィトゲンシュタインやら、僕は全然分からないから何度も読みました、みたいなことを愚直に記していて、あれはすごく勇気があると思った。

 普通はもっと見栄を張ったり、気取ったりするけど、アツシは本気だからね。

小田嶋 ついていきにくいものがあるよね。

ふたりの「青春の5冊」とは?

―― 大丈夫、そこまでは期待していませんから。ということで、お2人からは「青春の5冊」というラインナップを以下にいただきました。

○岡 康道さんの5冊(順不同)

『長いお別れ』 レイモンド・チャンドラー

『邪宗門』 高橋和巳

『斜陽』 太宰治

『されど われらが日々――』 柴田翔

『絢爛たる影絵―小津安二郎』 高橋治

○小田嶋 隆さんの5冊(順不同)

『車輪の下』 ヘルマン・ヘッセ

『素晴らしいアメリカ野球』 フィリップ・ロス

『仮面の告白』 三島由紀夫

『ヒューマン・ファクター』 グレアム・グリーン

『百年の孤独』 ガルシア・マルケス

―― まず小田嶋さんは『車輪の下』が一番最初に。

小田嶋 ここに並べたのは、ちょっとアツシくんの影響もあるのよ。アツシくんが「生きるための古典」で書いている通り、読んでもよく分からない本というのは、結果的に自分の内側に残ってる気がするのね。

 振り返ってみても、若いころの自分が影響を受けた本って、スッと読めた本じゃなくて、全然分からなくて、それでも背伸びして読んだ難しい本だったりする。『車輪の下』も、やっぱり中学1年生には、ちょっときつかったわけ。きつかったどころか、それ以前の俺は、『フランダースの犬』ぐらいのものしか読んだことがなかったわけだから。

 『怪盗ルパン』とかね。

小田嶋 そうそう。あと『シャーロック・ホームズ』をちょっと。『車輪の下』は、難しいというほどは難しくないけど、ついこの間まで小学生だったやつが読んだんだから。

 そりゃきついよ。

コメント5件コメント/レビュー

「車輪の下」は、自由奔放な友人に従っていたら優等生が落ちこぼれになってしまい、社会で生きられなくなってしまうという恐怖、「パール街の少年達」はボカというリーダ格の少年の知性や優しさの印象と共に、あれだけ真剣に奪い取った広場がある日工事現場として無くなってしまうという悲しさが、強烈に今も自分のどこかに残ってます。小学生の時の読書というものは、確かに人生の基盤になるように思います。(2010/10/26)

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「車輪の下」は、自由奔放な友人に従っていたら優等生が落ちこぼれになってしまい、社会で生きられなくなってしまうという恐怖、「パール街の少年達」はボカというリーダ格の少年の知性や優しさの印象と共に、あれだけ真剣に奪い取った広場がある日工事現場として無くなってしまうという悲しさが、強烈に今も自分のどこかに残ってます。小学生の時の読書というものは、確かに人生の基盤になるように思います。(2010/10/26)

ヘッセは昔も今も読む気がしないなぁ。理由は簡単。重い。日々しんどい事見てるのに、本まで息苦しいのはヤダ…若い時はそう思ってました。いじめや進学や恋愛ではなく、単純に思考の方向が定まらぬ時期にありがちな、アンニュイな発想で。梶井基次郎のけだるさは秀逸でした。忙しい時には読む気しないが、疲れた時には共感できる本です。若い時は理論走った本に惹かれますが、言葉に踊らされる面もありで、最も安心できたのは、日常的な焦燥感を代弁してくれる梶井でしたね。そしてパワーが出てきたら、ヘミングウェイにハマりました。この二者、対極にあるから面白い。その当時読んだ時の感動は、アラ還世代になった今も覚えてます。(2010/10/25)

常々お二人には同い年の親しみを感じておりますが、今回はまさにストライク!まずは、何といっても「パール街の少年たち」!私は小学5年でこの話が大好きで、独占欲のあまり親友に「私がいいというまで読まないで!」と言ってしまい、1年程経って「まだ読んじゃダメなの?」と咎められた作品です。(45年超のつきあいになる彼女からいまだにその時の事を言われます。)又、ヘッセは「知と愛」を小学校の図書館で借りて教室で読んでいて、なぜか鼻血をぽたぽたと落とした記憶が!高橋健二訳の朱色のカバーの本だったと記憶してます。大好きでした。今はナルチスとゴルトムントの原題から、香川のドルトムントを思いだす、親父ギャグの53歳に成り下がりました。柴田翔は、甘酸っぱい高校生の思い出。別れた彼が、"されど我らが日々-"を勧めてくれましたっけ。女性の描かれ方が少し無残でしたが・・・。うーん、青春です。('56女)(2010/10/25)

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後藤 忠治 セントラルスポーツ会長