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『サラリーマン漫画の戦後史』から読み解く日本人の仕事観
~近頃、職業マンガが流行る理由

  • 速水 健朗

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2010年10月25日(月)

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 外国語が苦手。セックスに自信がない。いざ決断の段となると弱腰。こうした日本人にありがちなコンプレックスを全部ひっくり返してみれば、島耕作の一丁出来上がりである。

 世界を飛び回るビジネスマン。外国語も達者で女性にはめっぽう強い。だがそれでいて、働き過ぎ、自己犠牲の精神、会社への忠誠心といった「日本のサラリーマンの美徳」もきちんと兼ね備えた存在。この島耕作というキャラクター像には、実はこのマンガが登場した1980年代前半の日本のサラリーマンの置かれた立場が見事に反映されていた。

島耕作が体現した、日本人の自信とコンプレックス

サラリーマン漫画の戦後史』真実一郎著、洋泉社(新書y)、777円

 70年代に入り高度成長期が終わると、日本型企業社会、とりわけサラリーマン的な労働の在り方に疑問符が付けられるようになる。成長を前提とした原理的には終身雇用、年功序列が維持できなくなり、脱サラやクビ切りが話題となり、サラリーマンは必ずしも安定した職業とはいえなくなったのだ。

 しかし、円安を背景にした自動車などの輸出産業の好調などを背景に「株式会社日本」は再び復調を遂げた。米社会学者のエズラ・ヴォーゲル・ハーバード大名誉教授は、日本の企業が成功しているのは、終身雇用、年功序列といったシステムによるものであるとした日本人論『ジャパン・アズ・ナンバーワン』(`79)を発表。これがベストセラーとなることで、日本のサラリーマンの自信は見事に完全復活。終身雇用、年功序列といった「日本的経営」もしばし延命が許されることになる。

 島耕作には、こうしたこの時代の日本のサラリーマンの自信、コンプレックスを含めた、時代状況が見事に反映されているのである。

 本書『サラリーマン漫画の戦後史』の著者である真実一郎氏は、ここで取り上げた島耕作の例のように、「サラリーマン漫画」という娯楽の中に反映される、その時代のサラリーマンが置かれた立場、プライド、そして自虐の念などを読み解いていく。そして、その変遷を通して、戦後から現代に至るサラリーマン像の変化、日本人の労働観の変化を論じていくのだ。

 高度成長期のピークである`65年、朝日新聞の夕刊でサラリーマンを主人公とした四コママンガ『フジ三太郎』の連載が始まる。これが「サラリーマン漫画」の始まりである(正確には、著者はその前身である『アサカゼ君』が嚆矢だという)。新聞需要の拡大は高度経済成長期におけるホワイトカラー層の拡大、「サラリーマン世帯の増加と比例」しており、その新聞でサラリーマンが描かれるのは「必然」だったのだ。

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