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今年の流行語大賞で「なう」は選ばれるだろうか

2010年11月5日(金)

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 年の瀬が近づくと、連日、賞イベント関連のニュースが流れてくる。
 プレスリリースが配布され、会見が設定され、撮影タイムが設けられる。
 毎年同じだ。意味のわからない賞と脈絡の無い人選。必然性のないニュース枠。
 芸能レポーターが賞と無関係な質問をする。

 約束が違う、と?
 いえ、お約束です。すべては予定調和。

「幸せですかぁ?」
 女性記者が声を張り上げる。
「○○さんとは順調ですか?」
「クリスマスはどなたと?」
 受賞者は無言の笑顔で応じる。ちょっと小首を傾げたりする。いい女が当惑したという設定の小芝居。
 翌日、記事が配信される。
「交際順調の幸せオーラ満開」
 とかなんとか。うんざりする。一体誰が得をするんだ?

 写真の背後にはデカい衝立型の看板が写り込んでいて、そこにはスポンサーのロゴがタタミイワシみたいにきれいに並んでいる。お人好しの宣伝部長は、この盛大なロゴ看板がブランドの好感度向上に貢献しているはずだと考えている。かわいそうに代理店の担当者の説明を鵜呑みにしているのだ。鷺と鵜。なんと典型的なダブルプレーシフトだろう。

 で、賞は腐る。ナマモノだから。逆に言えば、腐ることでしか生きていたことを立証できない。

 私が子供だった頃、レコード大賞の行方は、国民的な関心事だった。
 それだけ権威があったということだ。
 しかしながら、その権威が利権を産み、利権が収益につながっていることが周知されると、賞の行方には、微妙なバイアスがかかってきた。
 はじめて見る顔の新人が新人賞を獲得する。素人みたいな歌い手に歌唱賞が与えられる。そして、気がついてみると同じ芸能事務所の歌手が3年連続で大賞に輝いている。なるほどね。そうこうするうちに
「輝け!」
 と銘打って受賞を煽っていた歌番組は、いつしか輝きを失い、世間では、賞の行方に関心を抱かない人々が多数派を占めるに至るようになる。

「ま、歌謡マフィアが内輪でやってることだから」
「一種の贈答イベントじゃね?」
「秋の叙勲レベルの出来レース感だよな」

 いや、叙勲で選ばれた人たちは、いずれも立派な人たちだ。
 人選に文句をつけているのではない。
 オレにも勲章を寄越せとか、そういうことを申し上げたいのでもない。
 でも、どうしてわざわざ国の名において国民に等級をつける必要があるんだと、毎年私は、文化の日が来る度に、そう思わずにはおれない。

 民間の賞発行機関が、有名人にアワードを分かち与えるなりゆきは理解できる。
 賞発行業者は、宣伝を企図している。彼等は賞を授けているというよりは、「貰って貰っている」人たちだ。
 賞の贈り手が、受賞者に対して栄誉をもたらしているのではない。むしろ、受賞者があらかじめ身にまとっている名声や世評を、賞を出している側の人々が分けてもらっているのだ。

 たとえば、「ベストジーニスト賞」を配布しているのは、受賞者の知名度に乗っかってジーンズを売ろうとしている組織の面々だ。受賞者は、いまさら賞なんか貰わなくても、既にして十分なスターだ。だからこそ記者を呼び寄せ、テレビカメラを集め、ワイドショーの放送枠を確保することができる。つまりは釣り針。そういう商売、と、それだけの話なのだ。

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「今年の流行語大賞で「なう」は選ばれるだろうか」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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