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池上彰さんに聞く! 日本が国際貢献にお金をかける意味ってあるんですか?

『世界を救う7人の日本人』発売記念連続インタビュー【1】

2010年11月9日(火)

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 この10月、国際貢献の教科書と銘打たれた書籍『世界を救う7人の日本人』が発行されました。著者は、ジャーナリストの池上彰さん。国際貢献の現場で活躍する日本人専門家へのインタビューほか、紛争の傷跡残るスーダンや、日本の農業指導で米作りに挑むウガンダの現場に足を運び、国際協力機構(JICA)のトップ、緒方貞子理事長との対談を掲載した、ライブ感あふれる「教科書」です。
 国際貢献、と聞いても、ちょっと遠く感じる読者の方も多いでしょう。そこで池上さんに改めて日経ビジネスオンラインの読者のために、国際貢献の意義についてお聞きすることにしました

(聞き手は、日経ビジネス記者、山根小雪)

ーー 今回の書籍では、国際貢献の現場を取材するべく、スーダンやウガンダに足を運んでいらっしゃいますね。海外の国際貢献の現場を歩いたのは初めてですか?

池上 実はその前に1回あるんです。2000年に『そうだったのか!現代史』という本を書くために取材でラオスを訪れたとき、山岳民族のモン族の村で活動する国際協力機構(JICA)の方々の方々に偶然出会いました。そこでボランティアを行っていた青年海外協力隊の人たちが「週刊こどもニュース」をかつて見ていたとのことで大歓迎してくれたんです。日本の国際貢献の現場を歩いた初めての瞬間ですね。

池上 彰(いけがみ・あきら)
1950年長野県松本市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。記者として経験を積んだ後、科学・文化部記者を経て、報道局記者主幹に。1994年4月より11年間「週刊こどもニュース」のお父さん役として、さまざまなニュースを子どもから大人までが理解できる、丁寧かつ独創的な解説を行い、人気を獲得する。2005年3月NHKを退局。以後フリージャーナリストとしてテレビ、新聞、雑誌、書籍など幅広いメディアで活躍中。著者に『伝える力』(PHP新書)、『知らないと恥をかく世界の大問題』(角川SSC新書)、『そうだったのか!現代史』(集英社)など多数。(写真:木村輝)

ーー 国際貢献、と聞いて思い出すのは青年海外協力隊ですが、一般のイメージは「海外で井戸を掘っている」という先入観からなかなか逃れられていないような気がします。近年では、日本の国際貢献の大本であるJICAが事業仕分けでの仕分け対象としてニュースになっていましたし…。日本国民の税金を使って行う国際貢献、本当にどれだけ価値があるんでしょうか?

池上 国際貢献の意義について、ですね。結論から先に申し上げますと、必要です。それでは、なぜ必要なのか。それをこれから順番に説明していきます。

 まず、私が改めて言いたいのは、もう一度自分の足で、自分の目で海外を歩き、見る機会を多くの人が持ったほうがいい、ということです。ウェブで情報が簡単に得られる時代だからこそ、青年海外協力隊やシニアボランティアのような制度を通じて、日本人が知らない世界の知らない土地を肌身で知っていく。それ自体にとても価値がある、と思います。

ベトナムでは、若者たちが昼休みに全員本を読んでいた

 2000年当時の話に戻りますが、ラオスの前に私はベトナムを訪れました。
 二つの国の現場を歩いて見て得た一つの教訓は、「その国がこれから発展するかどうかは、若者が本を読んでいるかどうかを見れば分かる」。

ーー どういうことですか?

池上 ベトナムの首都ホーチミンを訪れたのは真夏の一番暑い時期でした。お昼時になると、みんなお店や家に引っ込んでしまう。しーんと静まり返っている。どうせ昼寝でもしているのだろうとお店の裏を覗いたら、違いました。

 木陰で店番の若者が一心不乱に本を読んでいる。1店だけじゃない。それぞれの店の若者たちがみんな、昼休みを利用して読書にいそしんでいる。「すごいな、これは」と思いました。

 さらにその後、市街の大きな本屋に立ち寄ってみました。本屋さんはその国の文化事情や流行が見えますから、必ず入るようにしています。すると、目の前で万引きした若者が捕まって大騒ぎになっていました。

画像のクリックで拡大表示

 彼が何を万引きしたか? 
 英語の本なんです。お金はなくても勉強したくて万引きしたわけです。万引きはもちろんほめられる行為ではありませんが、そこまで本を読んで知識を吸収したい、というベトナムの若者たちの知的渇望を図らずも目の当たりにしたわけです。

 そのあとベトナムからラオスに行きました。首都のビエンチャンの市内を回ったのですが、そもそもまともな本屋さんがない。現地の人に聞いて探し回ったのですが、結局海外からのバックパッカーが読み終えたペーパーバックばかりを集めた古本屋がひとつあっただけでした。

 なおもしつこく本屋を探そうと市場を歩いたら、一角で学校の教科書を売っている人がいました。あとで現地に在住する日本人の方に聞いたら、ラオスは一党独裁政権で愚民化政策を採っており、教育には熱心じゃなかったそうです。最低限の読み書きだけ教えたらおしまい。街中に本屋さんもない。「ああ、この国の発展はまだまだ先のことだろうな」と感じたわけです。

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「池上彰さんに聞く! 日本が国際貢献にお金をかける意味ってあるんですか?」の著者

山根 小雪

山根 小雪(やまね・さゆき)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション、日経エコロジーを経て、2010年1月から日経ビジネス記者。エネルギーを中心に、自動車や素材など製造業を担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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松﨑 曉 良品計画社長