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離島でも雇用は作れる

2010年11月16日(火)

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 国の過疎集落研究会の報告によると、全国には6万2000もの過疎集落が存在している。そのうち、10年以内に2600集落が消滅する可能性があるという。「古老が1人なくなることは図書館が1つ消えること」。アフリカの古い言い伝えにあるように、それぞれの風土に寄り添い、作り上げてきた生活の知恵や文化が消え去ろうとしている。

 瀬戸際に立つ辺境。だが、時代に抗い、輝く人々は現実にいる。東京農工大の客員教授、福井隆氏はこういった“辺境で輝く人々”を目の当たりにしてきた。

 福井氏は年間250日以上、過疎集落に足を運ぶ「地元学」の実践者。これまで7年間、100カ所以上の現場で地域づくりの支援をしている。「地元学」とは、無い物ねだりではなく、今あるもので何ができるかを考える。そのプロセスを通して地域を元気にしていく学問である。

 多くの地域は「ここには何もない」と誇りを失っている。だが、それぞれの足元を見つめ直すことで、「何もない」と言われているところでも、未来への希望を作ることができる。地元学を通して、福井氏は地域住民に気づきを与えている。

 日本中を旅する「風の人」。ゆえに見える地域の未来。この連載では、辺境で力強く輝く人々を福井氏の目線で描く。地域を元気づけるにはどうすればいいか。住民の心に火をつけるにはどうすればいいか。集落に溶け込むにはどうすればいいか――。1つのヒントがわかるのではないだろうか。

 4回目の今回は長崎県・小値賀島観光まちづくり公社の高砂樹史専務。離島という条件の悪いところにありながらも、地元の雇用創出に奮闘している人物だ。どのように雇用を生み出しているのか。詳しく見てみよう。

小値賀島観光まちづくり公社の高砂樹史専務

 「帰ってくるな」と親が子供に言わざるを得ない島で、新たな産業を興そうとしている男がいる。それは、高砂樹史氏、45歳。小値賀島観光まちづくり公社の専務を務めている。彼は日本有数の劇団員を誇る秋田県の劇団「わらび座」の団員だったが、平成12年に退団。平成16年の暮れに移住してきた。

 今回は交流産業で地域を元気にしようとしているよそ者の取り組みを紹介する。特に、離島というハンデを逆利用し、新しい着地型旅行商品を開発、地域に雇用を生み出そうと奮闘する人々の話だ。

島には帰ってくるなと親が言う

 小値賀島は面積25.46平方キロメートルの小さな島である。人口は2929人(2010年9月末現在、小値賀町役場調べ)。最盛期の昭和25年に記録した1万986人と比較して約4分の1になっている。典型的な過疎高齢化の離島だ。

小値賀島の風景

 産業は島の基幹産業である漁業を中心に、1988年には約60億円の産業規模を誇った。だが、2008年度には37億円と約半分に落ち込んでいる。特に漁業の衰退が顕著で、現状では約8億円の水揚げに減少した。高齢化率も43%と高く、島の行く末にも不安が漂う。

 この現状は島の人々に暗い影を落としている。

 高砂氏の子どもが通う中学校では、約3割の子どもが家業を継ぎたいと答える。だが、高校3年間の間に、「漁師、百姓、商店主。どれもやめておけ」と親に言われ、仕方なく出ていくことが島の常識という。島には仕事がなく、安定した生活ができないためだ。島に戻ってくるのは落ちこぼれ。誰も帰ってくることを望んでいない――。そんな意識が島の中にはびこっている。

 このように書くと、暗く希望のない島に聞こえるだろう。もっとも、小値賀島には新たな希望が生まれ始めている。

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三品 和広 神戸大学教授