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池上彰さん、ニッポンの「ガラパゴス」技術こそ、BOP市場を攻略するカギになるって本当ですか?

『世界を救う7人の日本人』発売記念連続インタビュー【2】

2010年11月16日(火)

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―― 前回のインタビューで、多くの日本人が国際貢献の現場で活躍しているとうかがいました。国際貢献のプロジェクトを進めるためには、地元の政府関係者とも密接にかかわることになりますよね。そこで注目したいのが年収3000ドル以下の40億人以上いると言われるBOP(ベース・オブ・ピラミッド)市場。日本の途上国への国際貢献は、BOP市場への足がかりになるのでしょうか?

池上 もちろん、公的機関の国際貢献は、企業がBOP市場を開拓する上での足がかりになります。

 途上国は、経済的な側面で大きな可能性を秘めている一方で、社会システムがまだまだ整備されていない国が多いのが特徴です。私が取材したスーダン南部のように、ついこの前まで紛争状態だった国もありますし、長い間独裁政権下にあって、民主主義的な社会を成立させるだけの法律も、社会常識も行き渡っていない国もあります。

 国際貢献は、まさにこうした国々の社会システムを整備していくお手伝いです。先進国のビジネスルールがそのまま通用する世界ではない国において、国際貢献を通じて構築した現地との人脈や社会に対する好感度は、日本企業のBOP市場開拓に必ず役に立つはずです。

―― 池上さんご自身、今回の書籍でスーダンやウガンダの現地取材を行っていますね。BOPの中心はアフリカ諸国ですが、実際にご覧になって経済面での成長の兆しは感じられましたか?

池上 はい。スーダン南部のように紛争が休止してから時間がたっておらず、復興への道のりがまだまだ険しい地域もありますが、なにせアフリカの53の国のうち、すでに20カ国近くが経済成長し始めています。この流れを無視するわけにはいかないでしょう。

スーダン南部のジュバで開かれた職業紹介イベント「オープンデイ」を取材する池上さん。紛争から復興への道のりは険しい

 BOP市場の潜在的な市場規模は500兆円以上とも言われています。これまで貧困層が多かったということは、逆に言えばそれだけ成長の可能性を秘めている地域が多い、ととることもできるわけです。

 ただし、残念なことに日本の公的機関の国際貢献と、一般企業のBOP戦略は必ずしも歩調を一にはしておりません。

 すでに欧米諸国は将来離陸するであろうBOP市場をにらんで、様々な形で動き出しています。具体的には公的機関の国際貢献と一般企業の市場進出の歯車が合っています。

 一方の日本はというと、国際貢献の現場の専門家の方から聞いた話の多くは、「日本の公的機関はBOP市場の開拓には消極的だし、企業の活動もまだまだ目立っていない」というものでした。潜在力はあるだけに、もったいない話です。

―― なぜでしょう? どうも欧米と日本の間で、BOP市場の捉え方に温度差があるような感じがしますね。

池上 ここで、商社マンを題材にした古い笑い話をご紹介しましょう。
 ……昔々、2人の商社マンがとある途上国に靴を売りに行きました。現地を視察したら、住民は誰も靴を履いておらず、裸足で生活をしています。

 それを見て、片方の商社マンはさじを投げました。
「ダメです。こっちの人は誰も靴なんか履いちゃいない。一足も売れないよ」
 同じ光景を見た、一方の商社マンはにやりと笑いました。
「この国は宝の山だ。なぜかって? 誰も靴を履いてないだろう。だったら国民全員が新規顧客じゃないか!」

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「池上彰さん、ニッポンの「ガラパゴス」技術こそ、BOP市場を攻略するカギになるって本当ですか?」の著者

山根 小雪

山根 小雪(やまね・さゆき)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション、日経エコロジーを経て、2010年1月から日経ビジネス記者。エネルギーを中心に、自動車や素材など製造業を担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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