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この弁護団を見よ!『冤罪法廷』
~検察のストーリーが崩れた瞬間

2010年11月22日(月)

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冤罪法廷――特捜検事の落日』魚住昭著、講談社、1260円

 先日、こんな話を聞いた。知らない間に自分の本が書店で売られていたというのだ。著者のクレームで発覚したそうだが、ことの経過はこうだ。

 語りおろした原稿に手をいれる段階で、著者が多忙となり、企画は停滞してしまった。上司から進行を問われた担当編集者は、自分でとんどん書き加え、原稿を完成させたという。上司に見せると、絶賛された。

 その編集者が言うには、上司が怖くて、何とかせねばと思った。1人で仕上げその間一度も著者に連絡をとらなかったというから、目は上司にだけ向けられていたことになる。

 事情を知って、上司は愕然。常識では考えられない暴走ということでは、話題の「特捜のエース」マエダさんの証拠改ざん事件と少しばかり通じるものがありそうだ。

 郵便不正事件で、完全無罪判決を勝ち取った厚生労働省の村木厚子さんの裁判報道から明るみになったのは、誰が見たって無罪でしょうという証拠を隠すわ、取調べのメモをみんなで揃って破棄するわ、自分たちの「ストーリー」に合わせて調書を捏造するわの、「これでいいのか」という検察官の手法だ。長年のうちに検察独自のルールができあがったとしか思えない。

 決定的だったのは証拠改ざんだが、これだって同僚の中に「ボクらのルール」に疑問を抱く「かわったやつ」がいたからこそ発覚したことで、そうでもなきゃマエダさんはエースとして今もって奮闘していたことだろう。

証明書の授受をめぐる攻防

 さて、本書だが、厚労省の村木厚子さんの無罪を勝ち取るために、弁護団がどのように法廷で争ったかをルポしている。

 著者の魚住昭さんの代表作といえば、『野中広務 差別と権力』(講談社文庫)だ。自民党の幹事長時代に辣腕をふるい、総理候補にも名前があがったが、一身上の事情でこれを辞した。被差別部落出身をバネに、政治の頂点にまで上りつめようとした政治家の裏面を緻密にたどった人物ノンフィクションで、暴露ものとは視点の異なる、起伏に富んだ政治家の哀愁さえただよう力作だった。

 その魚住さんの著書だというのが、本書を読んだ理由でもある。検察の取調べの経緯もそうだが、個々の検察官の「個人」の顔が見えるのはないかという期待もあった。その部分では少し物足りない感じもするが、本書で強いインパクトを与えるのは、村木さんについた弁護団の法廷戦術だ。

 犯行を立証するのに欠かせない、ニセの証明書の授受は、いつどこで行われたのか。当時の村木課長からじかに受け取ったという検察側の証人に対して、弁護人は、当時の職場の配席図をひろげ、どこの位置で受け取ったのかを問いただしていく。

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