• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

人間の本性がわかる『イソップを知っていますか』
~本当は怖い「アリとキリギリス」

  • 浅沼 ヒロシ

バックナンバー

2010年12月20日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

イソップを知っていますか』阿刀田高著、新潮社、1575円

 著者の阿刀田高氏は1935年東京都生れ。丹念な作品づくりで知られる短編作家で、現在は日本ペンクラブ会長、直木賞選考委員も務める文学界の重鎮である。

 『ギリシャ神話を知っていますか』など大御所ならではの薀蓄を披露した教養シリーズも人気で、本書は2003年に出た『コーランを知っていますか』に続く「知っていますか」シリーズの最新刊だ。

 阿刀田氏が今回選んだのはイソップ物語の世界。

 イソップ物語は子ども向けの物語だから、ふつうの大人はまず読まない。いい大人が子ども向けの本を読むには理由がいる。

 よく知られているのは、癒しを求める読み方だ。『マッハの恐怖』『零戦燃ゆ』など優れたノンフィクション作品で知られる柳田邦男氏も、肉親の死をきっかけに絵本の世界に分け入った。悲しみの持つ意味、生きることの過酷さについて深く考えた末に達した境地は、『大人が絵本に涙する時』などの著作で読むことができる。

 一方で、『本当は恐ろしいグリム童話』『本当は怖い世界の童話』など、ほのぼのしているはずの童話に秘められた残酷性に注目する読み方がある。「本当は淫らな……」「本当は萌える……」などの亜流を含め、この分野の本もよく売れている。

イソップ物語は世間知の宝庫

 だが、阿刀田氏の読み方は、どちらにも属さない。

 癒しを求め、人生の意味を問うような深刻な読み方もしないし、興味本位で劣情に訴えたりもしない。2000年以上も前に創作された説話集が今も読みつがれていることに着目し、イソップ物語には厳しい世間を生き抜くための知恵がつまっている、というビジネスマンにぴったりの視点で読み解いたのだ。

 しかも、阿刀田氏、いくつもの異本があるイソップ物語から一風かわった翻訳を選んだ。16世紀から17世紀にかけて渡来した宣教師等の手で翻訳された天草本『イソポのハブラス』を底本とし、同時期に別ルートで翻訳編集された古活字本『伊曾保物語』も参照する方針にしたという。

 ちなみに、「イソポ」につづく「ハブラス」とは「ファーブル(寓話)」である。この『イソポのハブラス』は今は一冊しか存在していない稀覯本で、大英博物館に保管されているだけらしい。

 阿刀田氏としては〈安土桃山時代の日本人がこんなストーリーに触れたんだ〉という視点を導入しようとしているのだが、阿刀田氏の複眼思考を全てお伝えするのは難しい。ここでは「超ビジネス書レビュー」的視点にしぼって紹介させていただくことをご了承いただきたい。

 イソップは古代ギリシャ文化が燦然と輝く直前の紀元前6世紀の人。ギリシャの支配下にあった小アジア半島(現在はトルコ領)の中西部に生まれたので、ギリシャ人と推定されている。

コメント2

「超ビジネス書レビュー」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

全体の2~3割の人でも理解し、動き出してくれれば、会社は急速に変わります。

中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長